2022/01/25
お城EXPO 2021 徹底ガイド&レポート イラストレーター・ナガイクミコの「お城EXPO 2021」初参戦レポート!
2021年で開催6回目を迎えたお城の祭典「お城EXPO」。年末恒例となりつつありますが、興味がありつつも未だ行かれていない!という方も多いのではないでしょうか。お城好きイラストレーター・ナガイクミコさんもそのお一人。念願かなって!?初参戦となったお城EXPO 2021を、素敵なイラストを交えてレポートしていただきます。
はじめまして。イラストレーターのナガイクミコと申します。
私は、普段お仕事で雑誌や書籍、テレビなどの挿絵のイラストや漫画を描いたり、キャラクターデザインなどをしたりしています。お城歴は浅いのですが、通っていた中学校が城跡だったり、同級生たちの通学路には古戦場があったりするような環境で育ったので、お城は大変身近でした。この度は、大好きなお城のイベントであるお城EXPOのイベントレポートをさせていただけることになり、とても光栄に思っています。それでは、皆さま、どうぞよろしくお願いいたします。
まずは、準備しました
このイラスト以外のところとしては、温度調整がしやすいように、スカーフと、ゆったりした薄手のニットセーターと冬の厚手の上着という服装で挑みました。前日よりは冷え込まず、名古屋から新幹線だったため朝が早かったのですが大丈夫でした。チケットとスマートフォンと、財布に現金も忘れずに!
シャッターチャンスを待ち構えていた掛川城と小田原城を撮り損ねてがっくりしたり、雪のせいで京都と米原の間で遅れが生じたりとちょっとしたハプニングはあったものの、開場の9時直前くらいに到着。すでに入城待ちの行列ができていました。
せっかく来たので並ぶよりは時間を有効利用しようと、このイベント唯一の屋外展示の古河城バルーンを見学。古河城と横浜のクリスマスという和洋折衷な組み合わせで、なんとも乙な空気を醸しておりました。
通常はトランポリン遊具として子どもが遊べるのですが、今回は諸事情により展示のみでした。古河は愛知の武将・永井直勝の領地だったということもあり、同じナガイの民としては中に入れなかったのが残念。来年は入って喜びたいと心に誓いました。
発掘品や、レプリカ、ジオラマに大興奮
いよいよ入場! 本当に地元の愛を感じるブースだらけ! 私はレプリカや研究の成果、実際の発掘品などが大好きなので、ブース展示では興奮しきりでした。そんな垂涎の品をいくつかご紹介したいと思います。
【福山城/広島県】
江戸時代のお城の外壁に使われていた本物の鉄板!
空襲にあい天守は焼失したものの、なんと戦後すぐ地元の方が失われないよう拾い集め、錆びないよう大切に保管し残しておいてくださった物が寄贈され残っているそうです! 拾い集めてくださって、本当にありがとうございます!
こちらの鉄板から成分分析ができたため、日本産であり尚且つ備後の地域内から採れた鉄だと判明したそうです。今は、さらに詳細な産地の分析中だとか、とても報告が楽しみです。
【中城(なかぐすく)城の石垣/沖縄県】
中城城のブースのスタッフの方によると、交易など盛んで大陸との交流が本州より頻繁に行われていた証として、あの沖縄の見事なグスクには早くから石を削って積む技術が活用されていたようです。人々の往来や輸入の品々や文化継承の一部として建築技法や技術も一緒に伝わっていたんですね。古くから先進性を取り入れていった沖縄の先人たちの知恵と努力が垣間見え感激しました。
こういった技術研究のためにも、沖縄のグスクの発掘と、首里城が早く再建されることを心から願っています。
【丸岡城の石瓦/福井県】
今では採掘を行えない笏谷石に触らせていただけました! 実際に水を吹きかけて下さり、青さが目に沁みました。添えられていた石のブロックは、民家の屋根を加工した物だそう。新たに削り出された面が青い! 持ってみると思っていたより軽い印象で、これはもしかしたら焼物の瓦より軽いのかもしれません。
【見越の「信長松」/愛知県】
織田信長公が通りすがりに眺めて愛でたということで、地元では「さがり松」、「根高古松」、「根高の垂松」などと呼ばれ親しまれていた見越の松。明治33年(1900)の強風で折れてしまったので伐採されましたが、地域の方が木片を拾い、その形を山に見立てて雅な歌を添えて額装して残しておいてくださったのだそうです。
素晴らしき将来を感じる小学生たちの作品
やってきました、一番見たかった真田丸のジオラマがある日本城郭協会さんのブース!
「小学生が作った精巧なジオラマ」とニュースにもなっていましたが、私の語彙力で言えることは、丁寧!すごい!リアル!!
向かって左サイドから井伊家の足軽気分を味わうことができました。
また、上のフロアに展示されていた小学生と中学生の自由研究優秀作品の数々も素晴らしかったです。
イラストレーターのサガで、イラストの書き込みに惹かれて小学生の「なんだこれは!?鳥越城「守る」ひみつ!」を見てみたら、内容もすごかった!
下の「城郭遺産の商業利用「株式会社城」という選択」という中学生の研究は、「コロナ禍の今、お城に起こっていること」を分析し、数値を調べたもの! お城を維持していくことは、確かに株式会社の事業運営に似ているのかもしれませんね。
また、「尾張名古屋は金シャチでもつ」という研究成果。昨年の夏、地上に降りてきた金シャチに私も触りましたが、さすがというか自分の洞察力の至らなさを感じました。
通っていた中学校がお城だった私、作品をみていたらなんだか目頭と胸が熱くなりました。
お城と考古学の将来も安泰ですね。毎年一冊にまとめて、本にして出版販売して欲しいくらいです。
▼「城の自由研究コンテスト」表彰式の模様は、こちらの「小中学生の力作が勢ぞろい! 第20回「城の自由研究コンテスト」表彰式レポート」(https://shirobito.jp/article/1497)記事もご覧ください!
コラボケーキは、午前中で売り切れる?
事前チェックで気になっていたコラボケーキ目指して、11時過ぎくらいにフロアを駆け上がったところ、売り切れまで最後の10個というタイミング! 一番豪華で強そうな兜型のチョコレートケーキはすでに売り切れていました。
私が買ったのは右のシローくん(城びと公式キャラクター)のケーキ。ほかの2つは近くの方のを撮らせていただきました。撮らせて下さった方、ありがとうございました!
休憩・飲食用にたくさん設けられているスペースでさっそく実食! 歩き回って疲れたところに甘酸っぱいケーキが嬉しかったです。結構なボリュームがあり、欲張って大きな洋風のお弁当と一緒に食べたら、お腹がはちきれそうでした。
食休みを兼ねて、あらかじめ整理券をゲットしていた公式物販の時間まで一休み一休み。ブースでいただいた冊子類を読んだり、お城EXPOのガイドを見直して気になるブースやショーをチェックしたりとゆっくりできました。
エネルギーチャージ後は公式物販コーナーへGO! レジに少し並ぶことになったものの無事に欲しかった赤いカラビナを購入。宮武正登先生の「石垣鑑定法指南ー最新の調査・研究成果からー」の厳選プログラム(有料)の時間まで、食休み中にチェックした気になったブースや展示などを改めて拝見して回りました。そうこうしているうちに、いい時間に。フロアを上がって、少し早めに席に着き、しっかりノートを備え、抜かりなく受講完了!大満足!!勉強になりました!!!
会場の雰囲気をスナップでお届け!
厳選プログラム講演会後、閉場まで少し時間があったので、またウロウロ。
人気が凄くて長蛇の列で出来なかった体験型のブースが空いていて、ちゃっかり彦根城ブースで佐和山城ゲームし、缶バッチをいただきました。意外と狙い目な時間帯かもしれなかったです。
外しちゃならない城びと様のブース。SNSアカウントをフォローしていたのでノベルティマグネットをいただきましたよ。もちろん、その場でフォローでもOKでした
こうして振り返ってみると、本当にお城EXPOでいいパワーチャージをさせてもらいました。
出展者も来城者も、全国のお城大好き人間が結集しているだけあって、お城に対する熱気とワクワクの幸せな空気がお城EXPO会場に溢れていました。年齢、性別、古参、にわかを問わずにお互いを思いやりつつ、皆さんが本当に楽しんでらっしゃるのが伝わってきて嬉しくなりました。
帰りの新幹線の中で暗闇の山の稜線を眺めていると「あちらもこちらも昔はお城だったのでは」と思えて胸がいっぱいになりました。これまで愛知県のお城イベントには友人と参戦したことはあったのですが、今回は1人で、しかも初めての横浜参戦というのもあり勝手が分からず、整理券が必要なショーなど見たいものをすべて見ることは難しかったので、来年は上手に、もう少しゆったり参戦したい!とリベンジも誓いました。
はー!楽しかった!!無事に開催されてよかったです。
新型コロナウイルスの影響で緊張感のある中、運営に関わってくださった全ての方々に感謝です。
最後に、ここまで読んで下さった皆さま、本当に、ありがとうございました。
それでは!
※イラストには、マスクを描いていませんが、会場では画像の通り、しっかりマスクを着用していました
執筆・写真・イラスト/ナガイクミコ
名古屋市出身、愛知県育ち。
書籍、雑誌、広告、Webやテレビ番組などのイラストや漫画、キャラクターデザインなどを手掛けるイラストレーター。
子供の頃、所縁のあった懐かしいお城を調べるために、東京から引っ越した。HP:https://nagai.illust.jp/ Twitter:https://twitter.com/Kumiko_Nagai