日本城郭協会大賞 【レポート】記念すべき第1回!日本城郭協会大賞表彰式に城びと編集部が潜入

2022年公益財団法人移行10周年を記念して、公益財団法人日本城郭協会が城郭文化の振興に貢献した団体及び個人を顕彰する制度、日本城郭協会大賞、日本城郭文化振興賞、日本城郭文化特別賞を創設し、城の日である4月6日に第1回の受賞団体・受賞者が発表されました。受賞されたみなさまは、どのような活動をどのような思いで取り組まれてきたのかでしょうか。授賞式の模様と、受賞者へのインタビューを2回にわけてレポートいたします。

表彰式の様子

6月16日、都内にて第1回日本城郭協会大賞・日本城郭文化振興賞受賞の表彰式が行われました。表彰式には日本城郭協会の理事長である小和田哲男先生はもちろん、評議委員や理事の方々も多数来席し受賞者を祝福しました。なお、日本城郭文化特別賞は別日に表彰が行われました。

▼「日本城郭協会大賞・城郭文化振興賞」って? こちらの記事をチェック
【お城TOPICS】日本城郭協会が城郭文化振興に関する賞を新設!大阪府大東市・四條畷市などが受賞

日本城郭協会大賞・日本城郭文化振興賞受賞
受賞団体・受賞者にはクリスタルの盾と目録が贈られた。盾には、日本城郭協会のエンブレムと受賞団体名が入っている。ずっしりとしていて、賞の重みを感じることができる(写真は日本城郭協会大賞受賞の、大東市・四條畷市に贈られたもの)

第1回「日本城郭協会大賞」は、飯盛城跡(大阪府)の発掘および調査が評価された大阪府大東市・四條畷市が受賞。調査に携わった大東市生涯学習課学芸員の李さん、四條畷市教育委員会スポーツ・文化財振興課主任の實盛さんが表彰式に出席されました。

日本城郭協会大賞・日本城郭文化振興賞受賞

日本城郭協会大賞・日本城郭文化振興賞受賞
小和田先生から盾と目録を受け取る李さん(手前左)と實盛さん(手前右)

日本城郭協会大賞・日本城郭文化振興賞受賞
贈呈後に小和田先生と記念撮影

続いて日本城郭文化振興賞の表彰です。記念すべき第1回は、鎌刃城跡(滋賀県米原市)の啓発・普及・保存活動が評価された「番場の歴史を知り明日を考える会」(滋賀県)が選ばれました。会長の泉さんをはじめ、酒井さん、宮川さんの3名が授賞式に出席。代表して泉さんが小和田先生から盾と目録を授与されました。

日本城郭協会大賞・日本城郭文化振興賞受賞

日本城郭協会大賞・日本城郭文化振興賞受賞
左から酒井さん、小和田先生、泉さん、宮川さん。「番場の歴史を知り明日を考える会」のお揃いのベストがまぶしい!

受賞団体コメントと、小和田哲男先生からの総評

ここで、受賞されたみなさまの喜びのコメントをご紹介します!
まずは大賞を受賞された、大阪府大東市・四條畷市。出席された大東市の李さんと四條畷市の實盛さんは、両市の市長のコメントを代読なさいました。まずは、大東市の東坂市長のコメントです。

日本城郭協会大賞・日本城郭文化振興賞受賞
大東市生涯学習課学芸員の李さん

このような素晴らしい賞を受賞することができましたことはこの上ない喜びであり、
また、この度の受賞はひとえに国指定史跡に向けた活動にご協力いただきました皆様の
ご指導・ご支援の賜物であると深く感謝申し上げる次第でございます。
今年は飯盛城主、三好長慶生誕500周年にあたります。今回の大賞受賞により、飯盛城跡はより一層注目を集めることになります。今後も、飯盛城跡の保護・継承に尽力してまいりますとともに、歴史的・観光的な魅力をさらに積極的に発信し、市民の皆様はもとより遠方からお越しになる皆様にも、飯盛城跡を通して戦国時代を体感して楽しんでいただけるような取り組みを進めてまいりますので、今後とも本市の取り組みにご理解とご協力を賜りますよう、ご協力お願い申し上げます。(一部抜粋)

日本城郭協会大賞・日本城郭文化振興賞受賞
四條畷市教育委員会スポーツ・文化財振興課主任の實盛さん

次に四條畷市の東修平市長のコメントを實盛さんが読み上げました。

四條畷市と大東市にまたがって所在する飯盛山の山頂に築かれた戦国時代末期の飯盛城跡は、市民をはじめ関係者様のご指導・ご支援のもと、平成28年度から3か年大東市とともに実施した調査成果が文部科学省に認められまして、令和3年10月11日に国の史跡に指定されました。この度、公益財団法人日本城郭協会様にその調査成果を高く評価していただき、令和4年4月6日の城の日に第1回日本城郭協会大賞に選定していただきましたことは大変喜ばしく、市民を代表しまして厚く御礼を申し上げます。今後はこの受賞を大きな励みとしまして、史跡飯盛城跡の保存・活用、そして周知活動に努力してまいる所存でございます。(一部抜粋)


日本城郭協会大賞・日本城郭文化振興賞受賞

日本城郭文化振興賞は、「番場の歴史を知り明日を考える会」会長の泉さんが受賞の喜びを伝えてくださいました。

第1号の文化振興賞ということでいただきまして、ありがとうございます。
私どもの会が発足しまして、ちょうど今年が30周年になります。30年前は、この「鎌刃城」という名前すら私たちも知りませんでした。
今日もおられます中井(均)先生からいろんな勉強をさせていただきまして、今は国の史跡になり、続日本100名城に数年前に選んでいただきました。最近は全国から多くの方が訪れられております。県外ナンバーの方が来られれば、間違いなく鎌刃城へ登られる方。それが地域の活性化につながっていると思っております。地元に住んでいても、地域の歴史があまり知られてないと思います。けれどもこの鎌刃城は私の人生の大きな位置を占めていると思って喜んでおります。
これからも、多くの方が訪れてくださることを願っております。(一部抜粋)


最後に、審査委員長でもある小和田哲男先生から改めて今回の総評が述べられました。

日本城郭協会大賞・日本城郭文化振興賞受賞

大東市・四條畷市一緒になって調査を行い、しかも今までも飯盛城は三好長慶のお城ということで認知はされていたと思うんですけれども、宗教施設であるということなどいろんな新しい知見が加えられ、見事に国の史跡にもなり、今回の受賞に至ったという風に思っています。
地元の支援がなければなかなか城というのは保存が難しいということもあります。地元の大東市・四條畷市の関係者のみなさんのご協力があったかと思いますので、そういったところを高く評価させていただきました。それから「番場の歴史を知り明日を考える会」、私も中井先生に勧められて何回か鎌刃城をのぼって、「すごい城だな」と実感しております。それが地元で、今日のお話にもありましたように、30年間地元で城の整備をされているということ、それが振興賞という形での受賞につながったという風に思っております。本当におめでとうございます。
(一部抜粋)


日本城郭協会大賞表彰式
最後は表彰式にご参加の全員で記念撮影

表彰式終了後、大賞を受賞した大東市の李さん・四條畷市の實盛さん、「番場の歴史を知り明日を考える会」の泉さん、酒井さん、宮川さんにインタビューし、活動などについてお話を伺いました。後日、その内容をお伝えしますので、お楽しみに!

また第1回日本城郭協会大賞については、日本城郭協会の公式サイトや小和田哲男先生のYoutubeチャンネル「戦国・小和田チャンネル」にも詳しく掲載されていますので、ぜひ併せてご覧ください!

日本城郭文化特別賞受賞の春風亭昇太師匠の表彰

第1回日本城郭協会大賞の日本城郭文化特別賞を受賞された春風亭昇太師匠の表彰が、7月10日、昇太師匠の高座がかかる静岡県森町のミキホールにて行われました。

お城好き落語家で有名な春風亭昇太師匠は、毎年年末のお城EXPOの厳選プログラムにも登壇いただいているので城びとユーザー・お城EXPOに足を運んでいただいている方にはおなじみかもしれません。そういったイベントだけでなく、NHKで放送されている「日本最強の城」などお城に関する番組に出演されてお城愛を語ったり、講演も行ったりされています。
そういった功績や、”特に戦国時代の山城の魅力をやさしく、楽しく、面白く全国に発信されている意義は大きい”と功績が評価されて今回の受賞となりました。

プレゼンテーターは日本城郭協会評議員神村謙二議長と、審査員を代表し同じく日本城郭協会理事の加藤理文先生。クリスタルの盾と賞状が授与されました。

日本城郭文化特別賞、春風亭昇太
左から:加藤理文先生、春風亭昇太師匠、神村議長

春風亭昇太師匠よりコメントをいただきました。

特別賞ありがとうございます。趣味のお城に関して表彰いただいたことはとても嬉しいです。今後も楽しみながら落語家という立場で、少しでもお城の魅力を一般の皆さんに伝えていければと考えています。

いつも楽しく、分かりやすくお城の魅力を伝えてくださる春風亭昇太師匠。今年のお城EXPOへの登壇も決定しました。今年はどのようなテーマでトークされるのか、楽しみですね!

賞を創設して文化振興や保全などお城にまつわる研究や活動を対外的に評価し、取り組みに敬意を表することはそのお城の魅力や団体の取り組みが広く知れ渡るきっかけになります。

総評で小和田先生は「個人で城郭研究を進めて成果をあげた若手を育てたい」という想いもあって賞を設立されたとおっしゃっていました。受賞者にとっても「これまで頑張ってよかった」と励みになりますし、多くの人が「こんな取り組みがあるんだ」「自分も何かやってみよう」と行動するきっかけになることでしょう。

また、城びと編集部はインタビューも刊行! 受賞にあたっての思いや、取り組みについて改めて伺いました。後日公開予定ですので、こちらもお楽しみに!

執筆・写真/城びと編集部
協力/公益財団法人日本城郭協会、大東市、四條畷市、番場の歴史を知り明日を考える会

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