日本城郭協会大賞 【お城TOPICS】日本城郭協会が城郭文化振興に関する賞を新設!大阪府大東市・四條畷市などが受賞

日本城郭協会が城郭文化の振興に寄与した団体や個人を顕彰する新しい賞「日本城郭協会大賞」「日本城郭文化振興賞」「日本城郭文化特別賞」を創設し、去る2022年4月6日の「城の日」に受賞者の発表がありました。その受賞者と受賞内容をご紹介します。

お城や地域への地道な取組みがあってこそ、城郭文化は継承されていく――公益財団法人移行10周年を記念して、公益財団法人日本城郭協会が城郭文化の振興に貢献した団体及び個人を顕彰する制度として、日本城郭協会大賞、日本城郭文化振興賞、日本城郭文化特別賞を創設しました。団体部門では 城郭の保存や発掘や振興に評価の高い団体(お城)が、個人部門では城郭研究分野で功績のあった若手研究者が対象で、令和4年(2022)4月6日に各賞の受賞者を発表しました。栄えある第1回に選ばれた団体等を、受賞理由とあわせてご紹介します!

第1回「日本城郭協会大賞」は「大阪府大東市・四條畷(しじょうなわて)市」

第1回日本城郭協会大賞に選ばれたのは「大阪府大東市・四條畷市」です。両市が3年かけて実施し、ついには国指定史跡につながった飯盛城跡(大阪府)の発掘および調査が評価されました。飯盛城は両市に位置し、戦国大名の三好長慶の居城としても有名です。

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飯盛城発掘調査現場。(左)石垣、(右)虎口(大東市産業・文化部生涯学習課提供)

協会は受賞の理由を以下のように説明しています。

発掘調査では御体塚丸(ごたいづかまる)より塼貼建物(せんばりたてもの)や石列を検出、遺物には脚付灯明皿があり、信仰に伴う施設の存在を明らかにしました。三好長慶は築城にあたって新羅明神(しんらみょうじん)を城内に勧請しており、戦国時代城郭と信仰を考えるうえで極めて重要な成果と言えます。また、全域を分布調査した結果、ほぼ城域全域から石垣が発見され、安土築城前の戦国期城郭の石垣導入として注目されています。これらの調査の結果は2021年10月11日の飯盛城跡国史跡指定につながり、まさに大賞にふさわしいものです。(日本城郭協会)

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(左)2段に築かれた石垣、(右)中央の山が飯盛城跡で、奥が大阪府と奈良県の府県境にあたる生駒山(四條畷市教育委員会提供)

第1回「日本城郭文化振興賞」に「番場の歴史を知り明日を考える会」

長年の鎌刃城跡(滋賀県米原市)の啓発・普及・保存活動が評価され、第1回日本城郭文化振興賞には鎌刃城跡の民間管理組織「番場の歴史を知り明日を考える会」(滋賀県)が選ばれました。

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鎌刃城をガイドするみなさん(番場の歴史を知り明日を考える会提供)

平成4年(1992)の発足以降、番場の歴史や自然を顕彰し地域の活性化を図るため、数多くの講演会や史跡・里山をめぐるトレッキングなどを企画実行するにとどまらず、鎌刃城への簡易展望台の設置や、通年の草刈り、登城路の整備、訪れる人たちの案内などを通じて、鎌刃城の保存活用に取り組む活動を実施されています。さらには地元の米原市立河南小学校6年生の「鎌刃城登山」を毎年支援し、子どもたちに地域の歴史や里山について学習する機会も提供。このような地道で堅実な取組みを30年の長きにわたり真摯に続けておられることから本賞に選びました。(日本城郭協会)

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令和3年(2021)に開催された鎌刃城まつり(左)と琵琶湖一周のろし駅伝(右)の様子(「番場の歴史を知り明日を考える会」提供)

春風亭昇太師匠が「日本城郭文化特別賞」受賞

今回の「日本城郭協会大賞」と「日本城郭文化振興賞」顕彰に際し、特に城郭文化振興への寄与の大きさを称えて、春風亭昇太師匠が「日本城郭文化特別賞」に表彰されました。お城好きの有名人といえば必ずお名前が挙がる昇太師匠は、お城ブームになる以前から、テレビや本などを通じてお城の魅力を発信し続けています。その長年の城郭文化振興への功績が称えられて、第1回日本城郭文化特別賞受賞の運びとなりました。今後、日本城郭文化特別賞は該当者がいる場合のみ発表されます。

「お城EXPO」をはじめ各地におけるお城イベントへ積極的に参加されるほか、新聞、テレビなどマスコミでお城の魅力の発信を続けられており、多くの人々のお城への関心を高めていらっしゃいます。特に戦国時代の山城の魅力をやさしく、楽しく、面白く全国に発信されている意義は大きい。(日本城郭協会)

受賞なさったみなさま、あらためておめでとうございます!
(公財)日本城郭協会のホームぺージにも詳細が掲載されておりますので、ぜひご覧ください。 

執筆/城びと編集部 

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