2022/05/27
【千田先生と行く!日本最強で不滅の城LIVE】配信現場に潜入! <第3回>小田原城の発掘・復元作業に迫る!
お城の魅力に迫るNHK番組「日本最強の城スペシャル」と「絶対行きたくなる!ニッポン不滅の名城」からスピンオフし、“お城マスター”千田嘉博先生が1城、日本全国のお城から生配信する企画「千田先生と行く!日本最強で不滅の城ライブ」。その配信現場に同行したスタッフが撮影の裏側をレポートする連載の第3回です。今回は、小田原城での配信に密着。千田先生たちが繰り広げたマニアックなトークや配信の裏話などを交えて、普通に歩いていると見落としそうな注目ポイントをご紹介します。
こんにちは。「最強不滅の城ライブ」製作委員会スタッフの角田です。
NHKの城番組「日本最強の城スペシャル」「絶対行きたくなる!ニッポン不滅の名城」スピンオフ企画として生まれた「千田先生と行く!日本最強で不滅の城ライブ」(公式HP:https://shirogasuki.jp/)のシリーズ配信もついに第3弾です! このライブ配信、千田先生はもとより、毎回のゲスト、そのお城を深く知る現地の方、そしてNHKの城番組を制作していている担当者と、いつも豪華なメンバーで2時間を超える濃~い内容でお届けしています。先生方が本当に楽しそうにお城愛を語って、時には気ままに写真を撮っていたりしています。
連載「【千田先生と行く!日本最強で不滅の城ライブ】配信現場に潜入!」第3回! 城に関してはまだまだ初心者、配信現場に同行したスタッフ角田が、現地で語られたお城のマニアックトークや裏話などをご紹介していきます。
vol.3 “白亜の城”小田原城の堅固な守りの秘密とは…?
第3回は、2022年4月17日に小田原城(神奈川県)から生配信されました。“お城マスター”千田嘉博先生、特別ゲストとして歴史作家でNHKの「歴史探偵」でもおなじみの河合敦先生、小田原城天守閣館長の諏訪間順さん、そしてNHKの城番組「日本最強の城スペシャル」「絶対行きたくなる!ニッポン不滅の名城」の村中プロデューサー(以下村中P)というスペシャリスト4名で小田原城を語りつくし(またまた時間足らず)ました!
馬出門からスタート
ガイドのお供となるオリジナルマップを上下逆にして説明するというハプニングもありつつ、スタート。
6年間かけて復元されたという馬出門(うまだしもん)。発掘・復元にも携わった諏訪間さんが説明してくださいました。江戸城の石と同じところから採れた石を使って石垣を復元。今度小田原城に行かれる際は、この石が門の左右で違うところも注目してご覧ください。
<諏訪間さん>
「全部で6年間かけて改修をしたのですが、そのうち平成17-18年で石垣工事をしました。結構大変だったんです。向かって南側・左手のほうは真鶴にある小松石という安山岩を使っています。右手のは、石の表面が表皮が出ている。石垣山一夜城の近くに早川石丁場群という石丁場があり、そこの発掘の後の石を持ってきています。地元の石を使っています。ちょっと質が落ちるんですけどね」
<村中P>
「こちらは『矢穴(やあな)』、鉄の楔のようなもので石を割っています」
<千田先生>
「電動ドリルで石を削っているわけではなく、昔ながらのやり方で復元していただいているのがうれしいですね。これでお酒飲めますね」
銅門。実は門の下は空いてるんです⁉
その次に訪れたのは銅門(あかがねもん)。
先生方は攻め込まれる場所が大好き。銅門の門扉の下が空いていることに注目され、諏訪間さんが特別に門を閉めてくださいました。
門を攻めようとするしぐさを見せる村中P
<村中P>
「この梁は穴がぽこぽこと空いている不思議な梁です」
<諏訪間さん>
「これはハマグリ釿(ちょうな)という丸い刃を使って作ってもらいました。まず道具を特注で作って復元してもらいました」
<河合先生>
「これは何の木なんですか?」
<諏訪間さん>
「松が2本、縦の柱は檜です。全部で14本の檜を使っています。この檜は実は東南アジアのラオスから」
前回(備中松山城)の配信でも、門をくぐる時にどれくらい攻めにくいかというところをじっくり解説していただきました。今回はさらに復元に携わった諏訪間さんもいらっしゃいましたので、復元の際の石や木の素材、大工さんの苦労などもお聞きできて、とても勉強になりました。
土塀(銅門の壁)の中がわかるように展示されている
二宮尊徳の像が飾ってある「報徳二宮神社」もあり、河合先生の歴史講座を聞くこともできました。
<河合先生>
「小田原藩の領地の中で生まれた方。富士山が1707年に大噴火し、二宮家もそこで田畑がやられてしまい、家族が亡くなったりして離散しちゃった後に、尊徳が16歳くらいからがんばって家を建て直したと。『小さなことからコツコツと』。独特の建て直し方が注目され、小田原藩の藩主に見込まれた」
<村中P>
「尊徳さんは有名ですが、小田原の方というのはあまり知られてなかったかもしれないですね」
<村中P>
「我々のイメージとしては(本を読みながら歩いている銅像を指しながら)こちらですね」
<河合先生>
「たぶんこれは事実ではなく、明治になってから幸田露伴が書いた本に挿絵として描かれていたため、こういったイメージが定着しています。身長が180cmあったのでたぶん、違うのではないでしょうか。最近では、金次郎が歩きスマホになってはまずいので、違う像がいろいろと出てきています」
<諏訪間さん>
「こちらの像は尺貫法が広がった時に全国に広がったものなので、高さ1mになっています」
天守の裏手には関東大震災の傷跡が今に残ります。崩れた石垣が残されており、関東大震災の被害の大きさを感じることができます。
<諏訪間さん>
「本丸の鉢巻(はちまき)石垣のちょうど隅角(すみかど)部分です」
<千田先生>
「形を保ちながらずるっと滑り落ちてきたものですね」
<諏訪間さん>
「いわゆる円弧滑りですね。小田原城は関東大震災ですべて崩れてしまったのでオリジナルは残っていないのですが、こちらはオリジナルで残っているものです」
<千田先生>
「これは貴重ですね!」
<村中P>
「来年で震災から100年ですね」
小田原城址公園内には樹齢400年を超える巨木が!
配信の中では松の木の大きさを体で示す千田先生がかわいらしかったですが、それだけでなく、小田原城には立派な樹木がたくさんあります。
常盤木門に渡る赤い橋のたもとにある「イヌマキ」や常盤木門脇にある「巨松(オオマツ)」など市内最大の巨木があるのも見どころの一つ。さらに、桜、梅、ツツジ、藤、蓮などさまざまな花も咲き乱れ、季節ごとに味わいがあるお城です。
写真左:イヌマキ。右:巨松(オオマツ)
小田原城駅周辺の観光も充実!
小田原城は駅から歩いて10分と、登城するにはとても便利。また有名なかまぼこ屋さんだけでなく、見逃せない美味しい名物もたくさんあります。駅ビルには小田原城プレゼントとしても紹介したおまんじゅう屋さんが入っていたり、駅前のお城通りにあるミナカ小田原は美味しいものがたくさんあるお土産屋&お食事スポット。休憩できる場所もあり、小田原散策は東京からこんなに近いのに本当に楽しめる場所だなと思いました。みなさまもぜひ訪れてみてはいかがでしょう?
ミナカ小田原
次回予告
第4回は5月29日(日)長野県・小諸城から生配信! 2023年放送大河ドラマ「どうする家康」の時代考証を担当する歴史学者の平山優先生とともに、「穴城」と呼ばれた個性的な城、小諸城の魅力に迫ります!
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「千田先生と行く!日本最強で不滅の城ライブ」
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執筆・写真/「最強不滅の城ライブ」製作委員会 スタッフ