2022/03/18
【千田先生と行く!日本最強で不滅の城LIVE】配信現場に潜入! <第1回>高知城 追手門の秘密
お城の魅力に迫るNHK番組「日本最強の城スペシャル」と「絶対行きたくなる!ニッポン不滅の名城」からスピンオフし、“お城マスター”千田嘉博先生が1城、日本全国のお城から生配信する企画「千田先生と行く!日本最強で不滅の城ライブ」が2022年2月6日からいよいよ始まりました。配信現場に同行したスタッフが撮影の裏側をレポートする連載がスタート! 配信第1回となる高知城で千田先生たちが繰り広げたマニアックなトークや、配信の裏話などをたっぷりお楽しみください。
【千田先生と行く!日本最強で不滅の城ライブ】の配信現場から撮影の裏側をレポート!
「城びと」読者の皆様、初めまして。
「最強不滅の城ライブ」製作委員会スタッフの角田です。NHK番組「日本最強の城スペシャル」、「絶対行きたくなる!ニッポン不滅の名城」はお楽しみいただいていますでしょうか?
これらの番組、実は放送されていない部分の先生方のやりとりがものすごく面白いのです! 残念ながら放送されない先生方のトークの面白さを伝えるべく、スピンオフ企画として生まれた「千田先生と行く!日本最強で不滅の城ライブ」(公式HP:https://shirogasuki.jp/)のシリーズ配信がついに始まりました!
このライブ配信を何倍も楽しめるよう、城びとでも新連載「【千田先生と行く!日本最強で不滅の城ライブ】配信現場に潜入!」を開始! 私、配信現場に同行したスタッフ 角田が、現地で語られたお城のマニアックトークや裏話などをご紹介していきます。
どうぞよろしくお願いします!
vol.1 高知城を完全攻略!?
記念すべき第1回は、2022年2月6日に高知城(高知県)から生配信されました。“お城マスター”千田嘉博先生、特別ゲストの東京大学史料編纂所教授の本郷和人先生、「お城EXPO2021」の出陣式に登壇いただいた高知県教育委員会の池川滋彌さん、そして高知県出身の城好き村中プロデューサーという、お城をこよなく愛する「おじさんカルテット」が、高知城を探索しました。
写真左から高知県教育委員会の池川滋彌さん、本郷和人先生、千田嘉博先生、村中プロデューサー
いざ、高知城!
の前に。
千田先生を交えて行われた「高知城攻略作戦会議」の模様をチラリとご紹介。1月、都内某所、スタッフ共々気合十分の打合せとなりました。
「高知城攻略作戦会議」の一幕。千田先生や村中プロデューサーのしぐさにはどんな意味が!?
会議では実際に歩くコースの検討が進められますが、「あれ? そもそも城の門ってなんで全部内開きなのだ?」「ここに秘密の階段があったということは、当時お殿様はどのルートで移動したのだ?」と、いつの間にか話は脱線し、議論は膨らみ深まっていきます。結果、会議の時間は予定を大きくオーバーして、千田先生、次の打合せに遅刻! 遅刻! 城好きスタッフが集まると、いつもこうなります。
いざ、高知県へ
千田先生は、ロケ前日に高知県入り。到着間もない先生を、夜のお散歩につれ出します。夜の高知城、ライトアップがとても美しかったです。
千田先生とスタッフで夜の高知城へ
追手門前で、千田先生からはTwitter用に、とっても寒い中、とっても熱~いコメントをいただきました!
そして、いよいよ配信当日!天気は快晴!
午前中のリハーサルでは、ダウンのアウターを着こんでいた千田先生。陽気のためか? 現場の熱気のためか? 午後1時の本番では脱いじゃったようです。本郷先生も合流し、スタッフもみんな、さらに熱が高まっていきました。
配信映像には映りませんが、先生たちの後には、これだけの「できる家臣たち(別名撮影スタッフ)」が控えております!
ちなみに、配信の裏側はこんな感じです。カメラマンが抱えるカメラが2台、竿に取り付けた小型カメラ(GoPro)が1台。計3台のカメラと音声さんが、みんな仲良く線でつながった状態で先生たちを追っかけます。なので、石段や狭いところなどはただでさえ撮影が大変な上、勝手気ままな先生たちの愛すべき予測不能な動きが加わり、スタッフは大混乱! でも、今回の「城ライブ」は、テレビでは見られないような、“先生たちの自由なトーク”が一番の魅力!! はしゃぎながら動き回る先生たちとスタッフ一同、とっても楽しんで配信した本番でした。
魅力満載の追手門
今回の高知城からの配信の中で、特に貴重なご紹介となったのが、追手門。地上でのトークに加えて、なんと、普段は非公開の追手門の内部にも入らせていただきました。大興奮だった先生方のトークを一部ご紹介します。
まずは、高知県教育委員会の池川さんから、追手門の説明がありました。
これが追手門。普段は非公開の内部にも入ることができました! 番組の尺を気にせず、一つの門についてたっぷりた~っぷり解説できるのも、この企画ならでは
<池川さん>
「山内一豊が1601年に入国したときに作られた、城の玄関、追手門です。1663年に崩れてしまい、64年に作り直されました。石垣部分は、当初は小さめの石が使われていたのですが、江戸期を通して何度も修築を繰り返されて、次第に綺麗で大きな石を使っていくようになっていきました。正面の石は幕末の頃の石で、中の方には、野面積みのもう少し古い時代のものが混ざったりしているんですよ。」
そして、千田先生が思わず駆け寄っていった先には…?
柱に思わず駆け寄る千田先生!と、慌てて追いかけるカメラマン
<千田先生>
「これすごいですよ、これ! これ、柱も大きいですし、なんと言ってもこの金物がすごいですね。
乳金物が立派ですね〜」
<村中プロデューサー>
「とっても巨乳な乳金物!」
<本郷先生>
「あ、言っちゃったよ!」
<千田先生>
「言っちゃいましたね!
門にはこういう金物が大体ついているんですけれども、実は飾りみたいに見えるのですが、飾りだけではなく、実用性があるんです。日本の城門の多くは扉を吊っている吊り戸で開け閉めできるようにするのですが、扉を吊っている金具の先端のところをカバーしているんですね。」
乳金物は、装飾性だけではなく、実用性も高い優れもの!
<千田先生>
「この扉の中に金属のすごい金物が入っていて、それがこの柱を貫通しています。貫通した先で抜けないように開いているんですね。それをこの金物でカバーして隠していると。で、飾りにしていると。さらに、乳金物は、柱の横の面にも必ずつくんですけども、これは扉を押されたときに金具ごと抜けていかないように横から大きなピンが止まっていますので、その金具を乳金物がカバーしているんです。」
<本郷先生>
「飾りの装飾もとっても綺麗。」
<千田先生>
「そうですよね。見事ですよね。しかも、普通の大きな城門でも下と上の2カ所で扉を止めているものが多いんですけども、ここでは3カ所ですね。3点止めしています。」
先生たちとの対比で門の巨大さを実感
<村中プロデューサー>
「だから、巨大な乳金物が3つあるんですよね。普通のお城でご覧いただくとよくわかるんですが、普通は2つです。普通上下で止めるんですけど、高知城はこんな頑丈なものを3つも作っているという。もう、やりすぎている。そこまでしなくても、もう開かないでしょっていうね。これはなかなか日本でも有数の堅固な門ですよね。」
<千田先生>
「そうですよね。大きいということもあって、この扉も巨大ですから、2点だけですと、毎日開けたり閉めたりで心配だなというのは、あったのかもしれませんけど、いずれにしても、この門を破って突破するというのはとてもできないなあという、非常にしっかりした設計ですよね。」
次に大興奮の千田先生が説明を始めたのは…?
石垣より張り出した懸造を解説
<千田先生>
「本郷先生!これ、普通、櫓門って石垣の上に櫓を乗っけているじゃないですか。ところが、ここは、石垣よりはみ出していて、懸造になっているんですよね。これも非常に面白い作り方だなあと。」
<本郷先生>
「なるほど!なんでまた土佐藩はこういう奇抜なアイデアが出せたんだろう!」
<村中プロデューサー>
「京都の清水寺みたいな、ああいう感じですよね。」
<千田先生>
「そうですよね。空中のところにはり出して建物が伸びているという。もし櫓門が今まで残ってなかったら、この門をこういう風に復元しようって、図面とかもなければ、なかなかわからないですよね。」
ここで、視聴者の方からチャットで質問が届きました! これぞ、生配信ならではの醍醐味!
<視聴者からの質問>
千田先生に質問です。懸造にした理由は門を豪華にするためですか? 石垣の幅より大きく作るために懸造にした理由はなんですか?
<千田先生>
「これはいろんな理由があると思います。一つは、石垣に左右されずに理想的な建物を建てるというために、こういう懸造の方法をとったというのもあると思いますし、実は当初の櫓門は、この石垣の幅に収まる今の半分くらいの幅の櫓門というのがもともとで、あるときこういう物凄く豪華絢爛な巨大な櫓門に変わっていったということを示しているのかもしれません。ですから、このあたりは普通だと石垣にどうしても規制されて櫓門の幅とか櫓の大きさって決まってしまうんですが、実は戦国の城から江戸の城なども、こういう懸造で石垣に規制されずに建物を建てるということが、結構あったようですから、これは全国のお城で読み解いていく、一つの非常に大きな手がかりだというふうに思います。」
<本郷先生>
「要するに櫓の幅が倍になったってことでしょ? そうすると、上に兵士をたくさん置けるじゃないですか。ということは、守る時に防御力は高まるという事ですか?」
<千田先生>
「高まると思います!」
ということで、なんと今回は、特別に!普段は非公開の追手門の内部へご案内いただきました!
非公開エリア 大手門の内部へ
スタッフが到着するのを待つ時間もあるのは、生配信ならでは
石段を登って、いよいよ中には入りま〜す!
目に飛び込んできたのは、ずらっと並んだ、石落とし。
石落としが全開というのは、本当に貴重な光景
今回は配信のために特別に全ての石落としをほぼ全開にしていただきました。高知県の池川さんも、この光景は初めて見たとのこと…! これには先生たちも大興奮!
<千田先生>
「石落とし一つひとつも大きいし、全面にすべて石落としになっているというのは、これはすごいですね。もう守りの力、マックスですよね! これだけ大規模に、というのは他に例がなかなかありませんから。」
<本郷先生>
「うわ〜〜! せっかくだから何か落としてみます?(笑)」
石落としの真ん中に木が一本通っている理由は、火縄銃を撃つときの足をかける場所だったのではないか? また下からの侵入者を防ぐためだったのでは? これだけ広いスペースがあれば、後ろで2、3人が火縄銃の準備をして、1人が前で撃って、というようにチームプレイで無駄なく攻撃できたのでは?
その場にいるからこそ、想像力がかき立てられるようで、議論はどんどん広がっていきました。
初めて追手門の中に入った本郷先生は、足元に石落としがあるとは知らず、木の板でフタがしてある石落とし部分にふらっと乗っかり、スタッフ一同をヒヤっとさせたハプニングも! 生配信、何が起きるかわからないですね。
<千田先生>
「本当にすごいですね。いや〜感動した! もう今日、ここに泊まっていきたい! 普通、追手門の中って入ることができませんので、今日はこういうふうに中の構造を細かく見せていただいて、こういった本来の材が、こういうふうに残っているんだというのを見せていただいて、よかった〜〜! 来て!! 名残惜しいな〜〜。」
時間内に天守までたどり着けるのか、視聴者もハラハラ
と、追手門だけで、なんと45分近く語った千田先生、本郷先生、池川さん、村中プロデューサー。全部で2時間ちょっとの配信の中では、結局、ラストの天守にはたどり着けませんでした…。ご期待いただいていた皆さん、すみませんでした!
(以上、一部ライブ配信より再録)
とにかく、城好きの皆さんとともにお城を巡るライブ配信、視聴者の方はもちろん、出演者もスタッフも大満喫できた第1回高知城からの配信でした。
次回は3月27日(日)、岡山県の備中松山城からお届けします。ゲストは、城好きとして知られる、俳優・タレントの村井美樹さん。
果たして、今度はどんなディープな城トークが飛び出すのでしょうか…?お楽しみに~!
▼詳細はこちらから
「千田先生と行く!日本最強で不滅の城ライブ」
公式Twitter:https://twitter.com/Shirogasuki_JP
執筆・写真/「最強不滅の城ライブ」製作委員会 スタッフ