2023/03/13
ご当地武将隊のお城ちょこっとガイド 樹齢400年の桜が見守り続ける沼田城（上州真田武将隊・群馬県沼田市）
いつもは地元のお城でおもてなしをしている武将隊やガイドのみなさまに、自慢のお城の見どころをちょこっとだけ紙面で紹介していただく「ご当地武将隊のお城ちょこっとガイド」シリーズ。今回は、上州真田武将隊（群馬県）による沼田城です。大変残念ながら上州真田武将隊は2023年3月末に活動を休止なさいます。その前の貴重なひと時、本記事でガイドくださるのは上州“真田”武将隊だから、当然真田の……あれ？ 真田に城を奪われたあの方？！
皆の衆、こんにちはじゃ。此度の沼田城址公園案内人、上州真田武将隊は沼田平八郎景義（ぬまたへいはちろうかげよし）である。
なんじゃ？
真田氏の武将隊なのに沼田氏が案内人とはどういうことだと？
ふ、まぁそう慌てるでない。
一旦落ち着くんじゃ。そう、落ち着け！落ち着けぇぇぇ！！！
左から真田昌幸・お初・真田信之・まさ（小松姫の娘）・かがり花・沼田景義
沼田城は名の通り、儂の父上である沼田顕泰（あきやす）が築城。沼田は長らく沼田氏が治めていた地なのである。
その後に真田氏が沼田城を支配、儂が奪還を目指して挙兵するのじゃが…。
その話しはまた後ほどに致そう。
この沼田城、もとは蔵内（くらうち）城と呼んだ。一説に「蔵」は山や崖を意味するとし、その「内」にあった城であるからと言われておる。
沼田の駅よりこの城址へ訪れた者にはよく分かると思うが、苛烈な坂を登ってようやく辿り着く、小高い丘の上の城なのじゃ。
さて、調べれば分かる史跡の解説をしてもつまらぬと思うゆえ、儂の独断で現世の見どころをお伝えいたそう。
沼田城はこれからの時期息吹始める、花々が誠に美しい。
ツツジ、チューリップ、オミナエシ、センニチコウなど季節の花が彩を添える。華やかで芳しく、それはもう可憐でのう。
む、さては儂のような黒を纏う武将には、何とも似合わん話しだと思うたであろう。
何？その通りだ？
なんと無礼な！その通りじゃ！
まぁ、そんな花に縁のなさそうな儂が虜になるほど、皆にも堪能してもらいたいということじゃ。
そして、中でも桜は外せない。天守のない園内に唯一そびえる「鐘楼」に比肩、あるいはそれ以上の存在感を放つ「御殿桜」は、樹齢400年以上のヒガンザクラであり、儂らの生きた時代から人々を魅了した沼田城形見の象徴、つまりシンボル的な存在である。
おすすめは4月上旬、大木の散り際が映す儚い景色に思いを巡らせるとよいであろう。
御殿桜二世と小松姫。老いが顕著な御殿桜一世を、二世が隣で見守り支えている
御殿桜を横目に少し下って行くと、日本百名山である谷川岳や、儂が沼田城奪還のために本陣を敷いた高王山などの山々を望める“ビューポイント”がある。眺めは時の移ろいこそ感じるものの、彼(か)の時代に思いを馳せるには十分な風景である。
ビューポイントから見える山々
ここまで来ると、何やら柵に囲まれ重々しい雰囲気漂う石へと目が行くことであろう。
冒頭の話しに戻るが、これは沼田城奪還のため挙兵した儂が真田の罠に嵌り息絶え、その後首級（打ち取られた儂の首）が置かれたという「平八石」である。
近寄り難いかも知れぬが、儂としてはささやかでよいので拝みに参ってくれたら幸いじゃ。
歴史に名を残す有名武将の陰で、あまり日の目を見ることのない儂ら国人衆であるが、その地に根付き、その地を築いた者として少しでも、皆が関心を持ってくれると報われる。
沼田は確かに「真田の里」であろう。だが、沼田は「沼田の里」であることに変わりはないのじゃ。
我ら上州真田武将隊は2023年3月で出立と相成り、以降は皆を出迎えることが叶わん。
しかし、またいつの日か沼田城に訪れる皆の声で賑わい、再び我らのような存在を必要としてくれる時が来ることを、天より願い見守っておるぞ。
【今回の武将隊 活動データ】
上州真田武将隊
●主な活動場所
沼田城址公園および上州真田武将隊商い処松之屋
●活動日
2023年3月末に活動休止。出立公演が残り最後の出陣のため、沼田公園での出陣はありません。
2023年 3月26日（日）に活動休止前の最後の公演「徒桜 -あだざくら-」を利根沼田文化会館にて開催予定。上州真田武将隊のネットショップ（https://www.josyu-sanada.com/shop-1）にて、チケット発売中。
●在籍メンバー
真田信之・小松姫・真田昌幸・沼田景義・円珠姫・羽根川小膳・竹林院・鈴木右近・お初・かがり花 他
●公式HP・SNS
▼全国の武将隊紹介記事にも登場！➡「おもてなしこそ武功なり！」地元を盛り上げる全国の武将隊大特集！（https://shirobito.jp/article/1332）
執筆・画像提供／上州真田武将隊
