お城好きの「あるある」に思わずクスッ!お城川柳投稿キャンペーン結果発表

2021年6月15日から7月31日まで城びとで募集していたお城川柳。お城川柳とは、「お城生活」や「お城好き・歴史好きあるある」等を題材にした川柳で、籠城が続く日々、せめてオンラインでお城生活を潤そう!ということで募集したところ、たくさんの投稿をいただきました。名句ぞろいの中から厳選し、「城びと賞」等の受賞作を発表します。

季語のいらない5・7・5の17音で詠まれる川柳と聞いて、多くの人が真っ先に思い浮かべるのは「サラリーマン川柳」ではないでしょうか。その多くはサラリーマンの悲哀をユーモア交じりに詠んだもので、スパイスの効いた一句に思わずクスッとしたり唸ったりしてしまいますが、お城好き・歴史好きにもそうした川柳のネタにピッタリな体験、ありますよね。

そこで城びとが、お城な日々を楽しんでいる皆さんから「お城生活」や「お城好き・歴史好きあるある」等を題材にした川柳を募集したところ、本当にたくさんの投稿をいただきました! その数なんと418句! 力作ぞろいの中から編集部が厳選した「城びと賞」「特別賞」、さらに城びとアンバサダーの審査による「アンバサダー賞」「アンバサダー特別賞」の受賞者および川柳を発表します!

▶募集の際の告知記事はこちら!
お城な日々を川柳に! お城川柳投稿キャンペーン(https://shirobito.jp/article/1345


①城びと賞※投稿順

しゅふしゅふさん「城跡に 何もないけど それがいい」
お城川柳

「○○跡」とか「遺構」とか書いてあるのに、広場だったり草むらだったり……でも、かえって想像力がフル回転したりするのです!! それが楽しい!!

<編集部より>
お城好きのあるあるといえばコレ! 建造物がない城跡は全国各地に多く、お城に興味のない人から「何もない」と言われそうなもの。建造物はないけれど…いや、ないからこそ、「どんな城だったのかな」と自分で妄想する余白ができて楽しいんですよね。「それがいい」と言い切っているところ、それがいい!

kucucuさん「歴女なの? いいえただの 城好きです」
お城川柳

お城が好きと言うとかなりの割合で歴女なの?と聞かれて返答に困るのです。ゲームやらない、歴史系漫画も読まない人間なので歴女と名乗っていいのかがわかりません。

<編集部より>
編集部一同「わかる~!」と納得した作品。お城に興味のない人から「お城=歴史」とイコールにされ、お城ファン=歴女と思われがち…。歴史も好きだけれど、お城に詳しいからといって歴史に詳しいわけではないんだよ~トホホとなること幾たびか。「いいえ、ただの城好きです」の答え、最高です!(今度からこう言おう)

こまぴょんさん「夫との 絆深まる 城巡り」
お城川柳

お城好きな夫の影響で城巡りが2人の趣味になりました。又出掛けられるようになったら、行っていない城の数々を巡ってみたいです。

<編集部より>
パートナーと巡るうちにお城が好きになった、という素敵な夫婦関係が伺える一句。相手は家族でも友達でもいいけれど、こまぴょんさんのように好きな人と一緒に行くことでお城を好きになってもらえると嬉しいなと思います。たまに、自分がお城が好きすぎて同行者と険悪になったという逆パターンも聞きますが、それもまたご愛敬! 城沼に引き込む側に立つのもまたよし!

にのまるさん「城びとの 70's は 16世紀」
お城川柳

「'70年代ってほんとにいろんな出来事があったよねー」が指すのは1970年代ではなくて1570年代。

<編集部より>
最初は「ん?70年代が16世紀?」と引っかかり、ちょっと意味を考えて「ああ、1970年代じゃなくて1570年代か!」と分かった時の納得感が気持ちいい! その着眼点と表現のハイレベルさにうまい!と言うほかありません。

沖縄県中城村観光協会さん「グシク(城)立ち マブイ(魂)重ねる 先人と」
お城川柳

中城グスクを造った先人、地域の平和や繁栄を願い努めた先人、未来をみた先人、戦争を経験した先人。私達の祖父母も幼少期清掃活動をしたという中城グスク。時代から時代へと、たくさんの先人たちが大事に守ってきた中城グスクに立ち、見下ろした景色の中で、物理的には会うことの出来ない中城の先人たちと、現代に生きる私たちの想いが交差する中城グスクを表現しました。

<編集部より>
地元の歴史を刻みながらもお城が決して過去のものだけではないことに気づかせてくれる一句。情緒に傾きすぎず、中城城の歴史をしっかりと踏まえている点がすばらしいです。中城城跡に一人立ち、来し方行く末に思いをはせる詠み人の姿と、歴史の中にたつ中城城の姿が重なります。

以上が城びと賞入賞作品です。続いて特別賞の発表です!

②特別賞(ひこにゃんかわいいで賞)

コダーマさん「脳内に ひこにゃん音頭が いつまでも」
お城川柳

彦根城付近のお土産屋さんでは「ひこにゃん♪ひこにゃん♪ひこにゃんにゃん♪」が延々と流れていて、数日脳内再生します。

<編集部より>
中毒性の高いひこにゃん音頭…彦根城に行ったことのある編集部員たちが「あるあるあるある」と超賛同! ひこにゃん音頭って、お土産物屋さんなどあらゆるところで流れているんですよね。共感するあまり、その場で特別賞を設けました! 

③城びとアンバサダー賞

お城川柳ならば、お城を心から愛する城びとアンバサダーの出番!ということで、城びとアンバサダー審査による「城びとアンバサダー賞」の発表です! 社会状況を鑑み、選考はオンラインで行いました。

お城川柳
審査員を務めてくださった城びとアンバサダーの方々。左から小城小次郎さん、たけ◎曲輪さん、龍馬さん


明石則実さん「お城どこ? この草むらだよと 地元民」
お城川柳投稿

超マイナーで遺構もはっきりしない城を訪れた際、案内板も石碑もなくてウロウロしている時、たまたま地元の方を発見!恐る恐る聞いてみると「あー、この草むらじゃなかったかな?」と教えてくれたことがたまにありますね。

<城びとアンバサダーコメント>
「城跡を探してもなかなか見つからないことは、まさに“お城好きあるある”。看板すらないような場所でも、地元のおじいちゃんと話していると『ここは〇〇堀っていうんだよ』と教えてもらうことがあり、とても共感できました。”この裏山”じゃなく、“この草むら”というのがすごくいい。自分の立っている場所がお城だったというリアルさもポイントですね。満場一致で入賞です!」

にのまるさん「富士山が 山城だったら 登るのに」
お城川柳投稿

最強すぎて畏れ多い。
 
 <城びとアンバサダーコメント>
「確かにお城好きは、そこに城があるから山に登る──城であればどんなに高く険しい山でも登っちゃうのが山城好きというもの。逆に、富士山に登らないのは城じゃないから(笑)。この句の気持ち、ものすごく分かります!」

★アンバサダー特別賞★

とある煩悩の登城目録さん「好きじゃない あやしい天守 街の顔」
お城川柳

 新型コロナウィルスの影響で休日でも家にいる機会が多くなり「あやしい天守閣 ベスト100城+α」という本をぱらぱらと見ていました。模擬天守は昔から好きになれず、歴史と異なる建造物は多くに人に誤解をあたえるものではないかなどと、偉そうなことも思ったりしました。しかし東海地方に住んでいる私にとって岐阜城、浜松城の天守は若い頃からのなじみがあり模擬天守とわかっていても人生の1ページを飾っているモニュメントのような存在です。伊賀上野城の天守は個人が街のために私財を投じて作られたというエピソードや、木造でありいい雰囲気を醸し出しています。史実と違う建造物でも、それぞれの人に思いがあり、その街にとっては顔となっているのでしょう。年をとり少しは寛容になりましたかね。(笑)

 <城びとアンバサダーコメント>
「審査員全員、模擬天守肯定派です! この句も一見、模擬天守を否定しているようで、実は肯定し受け入れている。模擬天守を前向きにとらえているんですね。審査員の中には昔は模擬天守反対派だった人もいます。でも、模擬天守ってはじめはなんやかんや言われていても町にずっとあり続け、時が経ったらすっかり町の顔になってるんですよね。住む人たちにとって町のシンボルになっている。天守をつくろうと奔走した人たちの情熱の証でもあります。その情熱や地元への愛に胸が熱くなります。そんなこんなで今では模擬天守もいいじゃない、になっています。」


以上ですべての賞の発表を終えました。改めまして受賞されたみなさま、おめでとうございます! 賞品として、お城川柳をしたためるのにぴったり!?「城びと一筆箋(馬出しの攻防戦)」をはじめとした城びとグッズをお贈りいたします。今後のしろせん(お城川柳)生活にお役立てください!
(※8月中に@shirotbio.jp ドメインからご連絡をさせていただきます。ドメイン指定をされている方は、解除等をお願いいたします)

企画した当初は、川柳を募集という新しいジャンルの試みに「数句しか応募がなかったらどうしよう!」と不安に思っておりましたが、ふたを開けてみたらたくさんのご投稿をいただきました。参加してくださった皆さま、本当にありがとうございます。「大後悔! 昔の人は 歩いてた」(緑の原付さん)、「無き天守 思い空見る 城址かな」(入り江わにさん)、「浜松は、うなぎ登りの、出世城」(三浦の晃ちゃんさん)、「松山城 密を避けよう 電子マネー」(朝田 辰兵衛さん)、「石組みが 不思議なんです 謎だらけ」(てぬき親父さん)、「寺社 公園 役所 学校 城の跡」(イオさん)、「ああ可愛い 割れなかったね 矢穴跡」(うっちー幸村さん)、「祖父叔父と 彦根登って 古稀を過ぎ」(カズサンさん)、「天守閣 1ダースしか ないと知る」(プーハさん)などなど、惜しくも賞は逃したものの、ご紹介したい名句がほかにもあまりにたくさんありました。共感したり感心したり、籠城中のお城の楽しみ方の一つとしてぜひ、城びとHPの「みんなの投稿」(https://shirobito.jp/report)で「川柳」を検索してみてください。

執筆:城びと編集部