根来寺は半年ほど前に訪れていますが、南側に東西に広がる前山と呼ばれる丘陵地の曲輪群は未訪だったため、紅葉狩りを兼ねて登城しました。根来寺駐車場(無料)に車を駐めて、まずはもみじ谷公園へ。根来寺内を流れる大谷川沿いに設けられたその名の通りの紅葉の名所で、見ごろとあって多くの人が訪れていました。公園内をひとめぐりして駐車場に戻り、ストックを手に今度は眼前に広がる前山に向かいます。
前山には四国八十八箇所の石仏が祀られており、五百仏山(いよぶさん)遊歩道として整備されています。こちらも見事に色付いている神池の脇から遊歩道に入り、石仏を順にたどると随分と遠回りになるので、直登ルートで尾根に出て、少し西に進んだ先にある石仏の背後に小さな削平地がありました。前山の東端の曲輪のようです。遊歩道をさらに西に進むと北側の眺望が開け、根来寺の大塔、大伝法堂、光明真言殿を一望できます。次の曲輪の南下には堀切があるようなので、奥に踏み込んでみると、竹藪の中に浅くなった堀切らしき窪みがありました。
東屋のある六十五番石仏から遊歩道は石仏をたどるルートと根来寺の南大門跡に向かうルートに分岐しますが、ここはもちろん南大門跡へ。このあたりから遊歩道の南側に土塁が東西に長く続いています。城好きとしては前山の防衛ラインと考えたいところですが、江戸後期に築かれた境界土塁とも言われています。さて、南大門跡を目指して土塁沿いに進んでも進んでもそれらしき場所には行き着かず、そうこうするうちに整備された道もなくなり、稜線上の土塁だけを道しるべにひたすら灌木と藪をかき分けて西端の曲輪に到達しました。西端の曲輪には不自然な二つの大穴があり、その南下には堀切と土橋が明瞭に遺っていました。その堀切の先にはもう一条の浅い堀切があり、前山の遺構はここまでのようです。南大門跡を見落とした(道を間違えた? 藪に沈んでいて気付かなかった?)のは心残りながら、道なき道をまた戻って探索し直す気力はもう無かったので、堀切の西斜面を下ってすぐそこに見えている墓地に下山しました。やれやれ…。
…ということで、遊歩道は一応整備されているものの、前山の城郭遺構はほぼ未整備で藪の中ですし、また行きたいかというと微妙ですが、いつでも行ける近場ではあるので、気が向いたら南大門跡を再探索してみようと思います。…気が向くかなぁ?
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