城の自由研究コンテスト 【レポート】受賞ポイントも!第17回小学生・中学生「城の自由研究コンテスト」表彰式

小・中学生による「城」をテーマにした自由研究のコンテスト、「城の自由研究コンテスト」。お城EXPOでも毎年優秀作品の展示が行われているので、作品をご覧になり、そのレベルの高さに舌を巻いた方もいらっしゃるのではないかと思います。今回は、第17回小学生・中学生「城の自由研究コンテスト」の表彰式の様子を取材。入賞した作品はどんな作品?評価のポイントは?など、ご紹介します!※2019年1月31日公開



作品のレベルアップが著しい!「城の自由研究コンテスト」

2018年8~9月に作品募集された、第17回小学生・中学生「城の自由研究コンテスト」の表彰式が2019年1月14日、アルカディア市ヶ谷私学会館で行われました。今回は、日本全国から個人作品131作品、団体応募275作品、合計406作品が応募。その中から特に優秀な22作品に選ばれた小・中学生と保護者の方が表彰式に出席されました。


城の自由研究コンテスト、日本城郭協会、小学生、中学生
表彰式には、入選作品の展示も。熱心に色々な作品に見入る子供たち

日本城郭協会理事長の小和田哲男先生による開会挨拶から始まった表彰式。祝辞の後に、「城の自由研究コンテスト」の審査委員長である日本城郭協会理事であり、城びとの連載でもおなじみの加藤理文先生から、審査講評がありました。

コンテストは、1次審査→2次審査→最終審査、という流れで審査されますが、加藤先生によると「年々作品の完成度があがってきましたが、今年度は一気にグレードアップ」したそうで、恐らくその一因としてお城EXPOで入賞作品を直接見られる機会があることも影響しているのではないかとのこと。今回は、加藤先生の講評をまじえて、上位入賞作品をご紹介します。

城の自由研究コンテスト、日本城郭協会、小学生、中学生
文部科学大臣賞「今の城主は誰なのか 城主なき現代の城」(土橋優里・小6)
土橋さんは、なんと2度目の文部科学大臣賞の受賞。今回は、「これまでの研究成果を生かしつつ、さらにそこから一歩進めて運営面という切り口からまとめた着眼点の素晴らしさ」が評価され、満場一致での受賞。「入場収入のみに頼る危うさ憂い、城を守っていくために様々な取り組みを目指すべき。自主財源を確保して、効率的な維持・管理をし、城を未来へ残していくという提言は大変素晴らしい」

城の自由研究コンテスト、日本城郭協会、小学生、中学生
日本城郭協会賞「大仏はなぜ二度目の炎上を許したのか? “梟雄”の城から考える」(チーム3本の矢(矢倉天馳・中1、矢倉眞羽・小4、矢倉央騎・小2))
兄・妹・弟が協力して作り上げた作品。「お城の割普請のように3人が非常にうまく仕事をこなしている。3人のほころびが一切見られない。アンケートの集計、クイズ、4コママンガなど使い方が非常にうまく、「松永秀久の城づくり」というテーマが全体を通してぶれなかった」

城の自由研究コンテスト、日本城郭協会、小学生、中学生

学研̟プラス賞「もっと知りたい世界の城 日本の城!!」(宮原知大・小4)

昨年に続き連続受賞。「世界の城を調べることで受賞になったのは初めて」とのこと。「日本の城との共通点、相違点を探る」「模型でレンガと版築の比較」をしたことがあげられたほか、模造紙は地図や年表に特化して、模造紙とレポートの使い方を巧みに使い分けるなど、うまく題材を取り込んで用途ごとにふりわけていることが評価。


城の自由研究コンテスト、日本城郭協会、小学生、中学生
審査員特別賞「将軍たちの学び舎ぼくたちの学び舎江戸城」(竹内真利・小4)
江戸城で、外国人観光客への英語のインタビューも試みた作品。「江戸城という身近な題材をすごく上手く活用していた。相手を特定して実施したインタビュー、そしてインタビューに答えてくれた人におみやげという発想も小学生らしくてよかった。ARが普及しているなか、あえて手作りスコープでアナログに見せる発想を評価」

城の自由研究コンテスト、日本城郭協会、小学生、中学生
審査員特別賞「なぜ彦根や姫路は県庁所在地になれなかったのか。」(渡邊孝洋・中2)
「題材の着眼点、視点の良さがとても素晴らしかった。城下町と城との関わりを調べていった調査能力が大いに評価された。城があった時代だけではなく、今の時代もうまく使っていけば研究としてかなり進展があるというのを改めて感じさせられた」


城の自由研究コンテスト、表彰式
文部科学大臣賞を受賞した土橋さんに賞状と副賞が授与

表彰式では、「お城研究のおもしろさと着眼点」と題して、小和田哲男先生による特別講話もありました。その中で、小和田先生から「研究というのは、誰かが言っていることを誰かが明らかにしているようなことを本当かなっていう形で疑うことから始まる。疑うことによって自分なりの研究の考え方が生まれてくる」、ただそのためには、「先行研究をある程度知らないと自分の研究は生まれない」ので、本を丹念に読んだり、地元の郷土史家の方や図書館の郷土資料室の方、教育委員会の文化財課の方などに実際にお話をうかがうことが重要というお話がありました。

城の自由研究コンテスト
小和田先生の講話に熱心に聞き入る。疑問に思うことから自分なりの研究、考え方が生まれるというのは「何も小学生、中学生の研究レベルではなくて大人になってからもそうです」とのこと

城の自由研究コンテスト、表彰式
表彰式に出席した受賞者の皆さんで記念撮影(日本城郭協会提供)

また、今回の入選作品の中で九戸城を扱った作品が、2月2日(土)~3月24日(日)に開催される、二戸市埋蔵文化財センター企画展「九戸城跡~史跡調査30年の歩み~」で展示されるそうなので、九戸城に行かれる予定の方は、要チェックです。

「城の自由研究コンテスト」の開催情報は、城びとでもお知らせしていく予定です。小学生・中学生の皆さま、ぜひ一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか?

小学生・中学生「城の自由研究コンテスト」
主催 公益財団法人日本城郭協会/株式会社学研プラス
後援 文部科学省/読売KODOMO新聞/教育新聞社

城の自由研究コンテストについては、日本城郭協会のサイト(http://jokaku.jp/educational-programs/shiro-contest/)をチェック!



取材/城びと編集部