【秋の城旅】2018年秋のオススメは山陰の城! いま行くべき山陰の3名城はどこ!?

異常な猛暑も一段落しつつあり、旅行シーズンとなる秋到来! 気温が下がってハイキングがしやすい天候が続く秋は、城鑑賞に適した季節でもあります。今年の秋にオススメしたいのが、山陰地方のお城。整備・復元が進んでいて見どころが増え、さらに城ファン必見のイベントが予定されている、「月山富田城」「鳥取城」「米子城」の3城を紹介しましょう。

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2018年秋にオススメしたい山陰地方の3城。いずれも山城であり、山頂から絶景を楽しむことができる

【月山富田城】山城サミットと戦国尼子フェスティバルが同時開催!

この秋行くべき城、1城目は島根県安来市にある月山富田城。山陰地方の覇者である尼子氏の居城で、戦上手とされる毛利元就でも苦戦した、難攻不落の山城です。

石垣、七曲り、月代、月山富田城
木々が月代(さかやき)のように伐採された部分が七曲り。山麓からでも山上の石垣を確認できる

山城サミット、安来大会、月山富田城
第25回山城サミット安来大会のポスター

この月山富田城を舞台に、9月23日(日・祝)と24日(月・休)の2日間にわたって行われるのが、「第25回山城サミット安来大会」。毎年山城のある自治体で行われる山城サミットは、今や城ファンには恒例のイベントですね(ちなみに2017年の会場は唐沢山城)。24日に安来市総合文化ホール「アルテピア」で行われるサミットには、歴史学者の小和田哲男先生や城郭研究家の中井均先生、城郭ライターの萩原さちこさんらが登壇し、講演やパネルディスカッションなど多彩なプログラムが予定されています。特に、戦国好きのカリスマである小和田先生は昔から月山富田城好きを公言しているので、どんな話をうかがえるか今から楽しみ。そして、今回「城びと」もブースに登場します!

また、今年の山城サミットがユニークなのは、並行して「戦国尼子フェスティバル」が同時開催されること(日にちは22、23日と1日だけずれていますが)。23日には月山富田城山麓の河川敷(絣センター前)に特設ステージが設けられ、武者行列や特産市、タレントの松村邦洋さんらが登壇するトークショーなど、さまざまなイベントが開催。22〜24日の3日間、月山富田城周辺は、城ファンでも戦国ファンでも楽しめる“祭り”となるわけです!

▼「全国山城サミット」と「戦国尼子フェスティバル」の詳細はこちらの記事をチェック!

月山富田城、山頂、日本海
山上からは、遠く日本海まで望むことができる

月山富田城、手すり、整備、登山道
手すりがつき、整備されたことで抜群に登りやすくなった七曲りの登山道

月山富田城では今回の山城サミットに向けて、城跡の大規模な整備が進められてきました。城の全域にわたり草木が伐採され、山頂からは山城最大のウリともいえる、360度開けた見事な眺望を楽しむことができます。また、山腹にある山中御殿と山頂要害を結ぶ七曲りも木々が切り開かれて、登城道には手すりも設置されてぐんと登りやすくなりました。以前行ったことがある人も、現在の月山富田城を訪れたら確実に印象が変わるはず。山城サミットを機会に、是非訪れてみませんか。

【鳥取城】大手登城道が復元中! 本丸や太閤ヶ平へのハイキングもオススメ

続いて今秋オススメの山陰の城は鳥取城。鳥取県を代表する名城です。

鳥取城というと、戦国時代に秀吉に攻められた“飢え殺し”の舞台、というイメージしか持たない人も多いのではないでしょうか。もしそうだとしたらモッタイナイ! 鳥取城は秀吉の手で落城したのち、石垣を要する近世城郭に生まれ変わりました。先ほど紹介した月山富田城が江戸時代に入って廃城となったのに対して、鳥取城は32万石を誇る鳥取藩の居城として、山麓の山下ノ丸(さんげのまる)に櫓や御殿が建ち並びました。残念ながらそれらの建造物は残りませんが、山上要害と山麓居館跡の両方にこれほどの規模の石垣を残している城としては、全国でも屈指です。

鳥取城、山上ノ丸、本丸、石垣、野面積み
山上ノ丸(本丸)の石垣。古い形式の野面積み

鳥取城、巻石垣、遺構、
石垣の補強のために築かれた丸い巻石垣。球体の石垣は日本でも唯一の遺構

鳥取城では現在、城の正面玄関にあたる大手登城道の復元整備が進められています。今秋には、復元建造物の第1弾として、水堀に架かる擬宝珠橋(ぎぼしばし)が完成。擬宝珠橋は、復元された近世城郭の橋としては国内最長を誇ります。9月30日(日)には完成記念式典や渡り初め、現地説明会が行われます。大手登城道沿いは2023年に向けて、中ノ御門や太鼓御門などが段階的に復元されていく予定。現在進行形で復元が進む姿を見ておけば、後年、若い城ファンに自慢できるかもしれません。

鳥取城、大手登城道、復元整備、擬宝珠橋
数年にわたり大手登城道の発掘調査が行われ、今後復元整備が進む。写真の擬宝珠橋は修築前のもの(鳥取市教育委員会提供)

鳥取城、復元イメージ
復元イメージ。2023年頃までに主要な門が復元される予定(鳥取市教育委員会提供)

ちなみに、鳥取城の山麓の遺構と山上の本丸を結ぶ登城道は急峻なことで知られており、約50分かかります。さらに、この本丸から秀吉が鳥取城攻めで陣城とした太閤ヶ平までは山道を約1時間の距離。つまり、鳥取城の山麓から本丸まで登り、さらに太閤ヶ平まで巡って戻ってくると、城の鑑賞時間を抜いても3時間近いハイキングになるわけです。たいへんなのは言わずもがなですが、籠城戦という戦国ロマンと、中世城郭から近世城郭へという城の発達史の両方を満喫できるこのコース。運動不足の体に鞭打って、涼しくなってきたこの秋にチャレンジしてみるのはいかがですか。

【米子城】

月山富田城、鳥取城ときて、3城目は鳥取県米子市の米子城です。江戸時代には2基の天守(正確には五重天守と四重櫓)が建ち並び、「山陰随一の名城」とも称されました。城の歴史は古く、応仁の乱の頃に築城されたと伝わりますが、石垣の城へと変貌したのは毛利家の吉川広家が山陰を治めていた時代。関ヶ原の戦いで敗れた毛利と吉川がいっしょに萩へ転封すると、替わって入城した中村一忠によって現在に残る城と城下町が整備されました。

米子城では近年進められていた発掘調査により、山頂から山麓の居館跡へと達する竪堀や、文書上だけで確認されていた曲輪など、新発見が相次いでいます。その中でも、城ファンの耳目を集める発見というと登り石垣でしょう。登り石垣とは、山頂と山腹・山麓の曲輪を石垣で結んで城の防御力を高める施設であり、彦根城や伊予松山城など数城でしか見られない貴重なもの。登り石垣の技術は日本が朝鮮半島を攻めた文禄・慶長の役で発展したことから、米子城の改修が朝鮮出兵と関わりを持っていたことも指摘されています。登り石垣は上部が崩れてしまったため一部の石積みしか残っていませんが、一見の価値がある遺構です。

米子城、天守台、本丸、高石垣、野面積み
天守台と本丸の高石垣。米子城では野面積みから切込接まで各時代の石積みが鑑賞できる

米子城、石垣、本丸
発掘された登り石垣の一部。本丸を目指して一直線に上るその威容を想像したい

米子城では「魅せる! プロジェクト」として、2016年から参加型のイベントを展開中。今年はボランティアとして参加できる「天守之大掃除」が10月20日(土)に実施され、10月1日(月)からは写真コンテストの募集が開始。また、11月1日(木)〜18日(日)までは山頂の石垣がライトアップされ、毎週金曜は麓にある球場からも観覧することができるようになります。そうした多岐にわたるイベントの中でも1番の目玉は、11月10日(土)開催の「米子城フェスタ」と翌11日(日)の「米子城シンポジウム」でしょう。「米子城フェスタ」は米子城と城下町一帯を会場にして、クイズラリーやステージなどの催しが実施され、屋台では地元グルメを堪能できます。そして翌日の「米子城シンポジウム」には、城好きとしてすっかりお馴染みの春風亭昇太師匠が出演! “山城観光大使”を名言する昇太師匠に、米子城の魅力やこれからの城の整備・活用のありかたについてうかがってみましょう。

米子城、中海、夕焼け
中海に突き出た米子城は眺望も見事。写真のような夕焼けも堪能できる

今回紹介した3城以外にも、山陰地方には国宝天守が残る松江城(島根県)や高石垣が魅力の津和野城(島根県)、山麓の居城と山上の詰め城の両方が続日本100名城に選定されている出石城・有子山城(兵庫県)など、一般的な知名度はやや低くても、城好きをうならせる名城が多数あります。それに、山陰地方は玉造温泉や皆生温泉など名湯にも事欠きません。猛暑の疲れを癒すためにも、この秋は城めぐりと湯めぐりを兼ねた山陰旅行なんていかがでしょうか。

執筆・写真/かみゆ(滝沢弘康)
ポップな媒体から専門書まで編集制作を手がける歴史コンテンツメーカー。かみゆ歴史編集部として著書・制作物多数。

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