お城紀行〜城下と美味と名湯と お城紀行〜城下と美味と名湯と 第8回 |【大和郡山城・後編】転用石の天守台と、金魚に会える城下町

お城はもちろん、その城下町にある美味しいグルメや温泉を紹介する「お城紀行〜城下と美味と名湯と」。今回は、いよいよ本命の大和郡山城(奈良県)本丸へ。転用石の石垣に守られた城を無事攻め落とせるのでしょうか!?



大和郡山城、天守台展望施設、堀、石垣
にぎわう天守台展望施設。よく見ると転用石は堀の石垣にも

奈良盆地の眺望が素晴らしい天守台

奈良県大和郡山市の大和郡山城(以下、郡山城)攻め、ついに本丸です。本丸南東隅の竹林橋を渡り、藩主だった柳沢吉里とその父柳沢吉保を祀る柳沢神社にご挨拶してから、奥にそびえる天守台へ。

今回の整備事業で、天守台石垣全体に間詰石を補充したそうですが、解体修理したのは孕みや崩れを起こしていた北面と西面の一部。豊臣秀吉の弟・秀長の城主時代に天守が実在したことも確認されました。説明板や転落防止柵が設置された付櫓台と天守台からは、比高28mとは思えない雄大な眺望が楽しめます。

大和郡山城、天守台東川、若草山
天守台東側からは奈良中心部の名所が一望できる。山の茶色い部分は若草山

持参の双眼鏡で、東側の若草山や春日大社、東大寺、興福寺、薬師寺、平城宮跡といった超有名どころをしっかり確認。西側には二上山や金剛葛城山系が望め、郡山城が大和国支配に適した場所だったことがわかります。

転用石を探せ!

さて郡山城天守台の石垣は、膨大な数の転用石が最大の特徴。これも秀長時代のものだそうで、石材の少ない土地のため近隣の石仏や五輪塔などを石垣に転用したのです。色・風合い・形がさまざまな石で構築された石垣は、なんとも特殊なおもむき。野面積に分類されるようですが、いうなれば「異種・野面積」?

大和郡山城、転用石
ここにくるまでの石たちのドラマも想像してみると、いっそう味わい深くなります

大和郡山城、さかさ地蔵
さかさ地蔵はガイドさんの手のところ

有名な「さかさ地蔵」は北面の卒塔婆が立っているところです。解体部分の裏込石からも600点超えの転用石が出てきたそうですが、外側の築石だけでも、柱穴のある石、梵字や装飾が彫られた石、切り揃えられた石などが簡単に見つけられます。

竹林橋櫓跡の横にある木戸から毘沙門郭に行くと、資料館である柳沢文庫があるので、歴史の勉強や資料の購入はここでどうぞ。

下城時に、堀の中に設置された八つ橋(デッキ)で堀底体験ができる鰻堀池と、対岸に二の丸の櫓台や石垣を眺めながら散歩できる鷺池の土手を通ります。

大和郡山城、水堀、鷺池沿い
鷺池沿い、気持ちのいい散歩道。二の丸を囲む水堀として池を利用している

この郡山城跡は桜の名所としても名高く、毎年開催される「お城まつり」は、今年は3/25〜4/8で、天守台を数珠が取り巻く「数珠繰り法要」などが行われたそうです。

古い町家と金魚に出会える城下町を歩く

それでは、柳門跡から城下町へ。旧町人街の一軒目にあるのが、創業天正年間の老舗和菓子屋・本家菊屋さん。名物「御城之口餅」(おしろのくちもち)は、秀吉をもてなす茶会用に献上したものだそうで、コロンと丸いひと口サイズ。粒あん・お餅・きな粉のシンプルな組み合わせだけに、こだわりの素材が引き立つ名品です。

本家菊屋、大和郡山城
400年以上の歴史を誇る本家菊屋。現在の建物は幕末頃のもの

お店の天井にはびっしりとお菓子の木型が並べられていて、お城とともに歩んだ歴史を物語ります。軒先ではお茶とお菓子をいただくこともできます。

この城下町で治安維持や消火を担ったのは、「箱本」という自治組織に属した13の町。そのひとつである紺屋町は藍染め職人が集住したところで、町のまん中に紺屋川が流れています。

藍染め体験(要予約)ができる藍染め商の町家を再生した箱本館「紺屋」のショップで、藍染めのかわいいくるみボタンを購入。小物のワンポイントによさそうです。ショールなどもステキでしたよ。

大和郡山城、箱本館、紺屋、藍染め体験
左/箱本館「紺屋」(左)では、ハンカチやバンダナの藍染め体験ができる他、季節ごとのイベントも開催 右/藍染め職人の町だった紺屋町。昔はこの紺屋川に染め上がった糸や布をさらしたそう

郡山いちばんの名物である金魚は、藩主の柳沢吉里が持ち込んだのがはじまりだとか。町でマンホールなど金魚モチーフのものにたくさん出会いますが、お土産屋さんにも、手ぬぐい、おもちゃにストラップ、メモやマステ、羊羹まで、金魚グッズがあふれています。

町家見物なら源九郎稲荷神社の近く、かつて花街だった洞泉寺町へ。大正時代の木造3階建て・旧川本邸は、もとは遊郭の建物。欄間など細部のシャレたデザインは見どころのひとつです。

大和郡山城、町家物語館、旧川本邸
今年から内部見学ができるようになった「町家物語館」こと旧川本邸

本家菊屋さんから南下すると行き当たる柳町大門跡は、惣構のアウトラインである外堀の大門の一つ。

大和郡山城、金魚池
金魚の町としても有名な大和郡山市内には、1,000以上もの養殖用の金魚池があるといわれている

お城も城下町もまだまだ見どころがあるのですが、城下町の南側一帯に広がる金魚池を眺めながら家路につきます。その水面には、暮れかけた春の空がきれいに写っていました。

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大和郡山城(やまとこおりやま・じょう/奈良県)
大和郡山城は、豊臣秀吉の弟・秀長が大和国100万石の領主として入城した城。江戸時代には松平氏や本多氏などの譜代大名が城主を務めていた。大和国は石垣に使う石材の産出地が少なかったため、大和郡山城の石垣は寺院などから集めた墓石や石仏などが転用されている。

執筆・写真/山本ミカ(やまもと みか)
兵庫県出身・歴史ライター。小4の時に歴史に目覚め、書店・大学出版会勤務を経てフリーライターに。現在の活動はもっぱら日本史関係書籍の執筆協力。石垣・巨石・製鉄が好物(鉱物?)。日本城郭協会に入会し、近ごろはお城にどっぷり

※歴史的事実や城郭情報などは、各市町村など、自治体や城郭が発信している情報(パンフレット、自治体のWEBサイト等)を参考にしています

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