お城の現場より〜発掘・復元最前線 第7回 【鹿児島城】官民一体で進む御楼門復元

日本全国で行われている城郭の発掘調査や復元・整備の状況、今後の予定や将来像など最新情報をレポートする「お城の現場より〜発掘・復元・整備の最前線」。今回は、鹿児島県桜門等建設推進室 甫立哲一郎さんと鹿児島歴史資料センター黎明館 黒川忠広さんに、鹿児島城(鹿児島県)の石垣保全整備事業に伴い2014年度から開始された発掘調査についてと、2020年の完成に向けて復元が進められている御楼門について紹介していただきます。

鹿児島城、御楼門、復元、本丸跡、桝形
御楼門の復元予定地である本丸跡の枡形

鹿児島城跡の発掘調査

鹿児島城(鹿児島県)本丸跡の発掘調査は、県歴史資料センター黎明館の建設に伴い1978、1979年度に実施されたが、今回の発掘調査は、石垣保全整備事業に伴い2014年度から開始された。

鹿児島城、能舞台橋掛かり、遺構
能舞台橋掛かり遺構の検出状況

注目される遺構として、まず、能舞台関連遺構の検出がある。今回の調査では、能舞台に続く橋掛かりの一部と思われる遺構が発見された。確認された構造は、底面が半円溝状で硬化面の上に漆喰を敷固めたものとなっており、橋掛かり床の下部構造として、音響効果を高める工夫が明らかとなった。

次に、庭園状遺構がある。明治5(1872)年撮影の古写真には、池や滝、立石が配置された庭園が写っており、これらの一部と思われる石組みや、池の痕跡等が検出された。石組みは、後に生えた樹木の根元に埋没しており、今回石垣整備に伴って樹木を伐採したことで明らかになった。

鹿児島城、庭園状遺構、石組み
樹木の伐採により現れた庭園状遺構の石組み

鹿児島城、本丸跡、桝形、弾痕
本丸跡の枡形内にも西南戦争の弾痕が残る

また、当城は、明治10(1877)年の西南戦争最後の激戦地でもあり、城跡の石垣には無数の銃・砲弾痕が確認される。石垣整備に伴いクリーニングを実施したところ、銃弾や砲弾片がそのまま残されている箇所も鮮明となった。

鹿児島城、花十字の紋様、瓦、キリシタン
花十字の紋様があしらわれている瓦。キリシタンに関連するものか

出土遺物について特筆すべきものは、長崎県のキリシタン関連遺跡で出土している瓦当文様に類似する軒丸瓦(花十字紋瓦)であろう。具体的な構造物との関連は不明だが、二之丸においても同様の瓦が複数出土しており、鹿児島における宗教史においても重要な発見であると言える。

御楼門の復元

鹿児島城跡においては、城の表玄関であり、明治6年(1873)の火災により焼失した御楼門の復元が進められている。復元の動きは、2013年から開始された県内の経済団体などによる寄附金募集活動により本格化し、2015年2月には、民間寄附金と鹿児島県及び鹿児島市の拠出金を建設の財源として建設に向けた事業を実施する「鶴丸城御楼門建設協議会」が設立され、これまで、2020年の完成を目指し官民一体の取組が進められている。

鹿児島城、御楼門、消失前
焼失前の御楼門(鹿児島県歴史資料センター黎明館蔵 玉里島津家資料)

御楼門は、焼失前の明治初期に撮影された古写真の解析や、現存する礎石に残る柱の金物の錆跡等から、木造二重二階、高さ約18m(鯱までは約20m)、桁行き約20m、梁間約8mとされ、館づくりで天守を持たない城のシンボルであり、国内最大級の武家門と思われる。

鶴丸城御楼門建設協議会では、設立以降、鹿児島(鶴丸)城跡保存活用計画の策定、県指定史跡の現状変更許可手続き、設計などを計画に沿って進め、2017年9月に建設工事を発注したところであり、現在、柱となる大径木などの製材・乾燥等を行っている。夏頃に起工、来年の夏頃に上棟し、「かごしま国体」が開催される2020年の3月に完成予定である。

御楼門、鹿児島城、鶴丸城、イメージ図
御楼門の完成イメージ図

この建設に向けた取組に対して、江戸時代の薩摩藩による宝暦治水工事を縁に、鹿児島県と姉妹県盟約を締結している岐阜県から、「鹿児島県との友好の証プロジェクト」として、樹齢300年以上の貴重な県産ケヤキを贈呈いただいた。

岐阜県の皆様の御厚情と先人が築いてくれた縁に感謝しながら、また、多くの寄附をいただいた県民の皆様の期待に応え、御楼門が鹿児島の新しいシンボルとなるよう、今後も官民一体となって復元計画を進めていきたい。


鹿児島城(かごしま・じょう/鹿児島県鹿児島市)
鶴丸城の美称でも呼ばれる鹿児島城は、島津家18代家久(初代藩主)が、関ヶ原の合戦直後の慶長6(1601)年頃に築城を開始した、中世以来の武家の伝統や格式を重んじて築かれた館づくりの城である。

執筆者/甫立哲一郎(鹿児島県桜門等建設推進室)、黒川忠広(鹿児島歴史資料センター黎明館)

写真提供/鹿児島県立埋蔵文化財センターほか

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