2022年大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を楽しむ! 2022年大河ドラマ「鎌倉殿の13人」入門②-パワーゲームを繰り広げる13人とは?

征夷大将軍就任から7年後、建久10年(1199)に源頼朝は亡くなります。子の源頼家が2代将軍となりますが、就任からわずか3か月ほどで、13人の有力御家人による合議制がとられるようになりました。しかし、その13人は激しく権力を争うようになります。今回はいよいよ、鎌倉殿の「13人」がどのような人物か、ご紹介します!

▶入門編①「主人公・北条義時とは?」はこちら

さらっと時代背景のおさらい

源頼朝の死後、2代将軍・源頼家は名目上の存在になり、頼朝に仕えた13人の有力御家人による合議制へと政治体制が移っていきます。合議制は「複数の構成員の合議によって決定される制度」を指し、日本の歴史上初めて合議制が採用されたのが鎌倉時代でした。

13人の有力御家人には頼朝の側近や、頼朝が京都から招いた公家、さらに頼朝の親戚にあたる北条氏など、様々な立場の人物が名を連ねています。

<コラム 合議制に至った背景>
13人の合議制に至った理由には、諸説あります。たとえば、頼家の専制を抑えるためという説や、若い将軍である頼家を有力御家人が補佐するためという説があります。北条氏が権力を握るために画策したという説もあり、実際に、北条時政・義時の発言力は強まっていきます。ドラマの中でどのように描かれるのか楽しみですね。

これが「鎌倉殿(将軍)」を支えた「13人の有力御家人」!

■北条時政(ほうじょうときまさ、演・坂東彌十郎)

鎌倉殿の13人

流人であった頼朝の監視役でしたが、頼朝の挙兵を助けます。政務や財政をつかさどる政所の別当(長官)、将軍を補佐する初代執権として権力をもちました。

■和田義盛(わだよしもり、演・横田栄司)

鎌倉殿の13人

鎌倉幕府の成立に功績があり、御家人を組織する侍所の初代別当(長官)となります。北条氏との対立が深まり、北条義時との武力衝突の末に敗れました。

■大江広元(おおえのひろもと、演・栗原英雄)

鎌倉殿の13人

公家出身の官僚で、頼朝に招かれて初代の政所別当(長官)に抜擢されます。守護・地頭の設置を献策しました。

■三善康信(みよしやすのぶ、演・小林 隆)

鎌倉殿の13人

公家出身の官僚。伯母が頼朝の乳母であり、伊豆に配流中の頼朝と連携しました。頼朝に招かれ、裁判を担当する問注所の初代執事(長官)となります。

■梶原景時(かじわらかげとき、演・中村獅童)

鎌倉殿の13人

頼朝が平氏に対して挙兵し、石橋山の戦いで窮地に陥った頼朝を救出。のちに侍所別当(長官)となり、御家人筆頭とされました。頼朝の死後、有力御家人による弾劾を受けて失脚し、一族とともに敗死。

■比企能員(ひきよしかず、演・佐藤二朗)

鎌倉殿の13人
2代将軍・頼家の乳母父となり、娘は頼家に嫁ぎます。外戚として力をもつものの北条氏追討を計画して失敗し、敗死します。

■安達盛長(あだちもりなが、演・野添義弘)

鎌倉殿の13人

配流時代から頼朝の側近となった武士。御家人のリーダー格として重用されました。

■三浦義澄 (みうらよしずみ、演・佐藤B作)

鎌倉殿の13人

頼朝挙兵の計画段階から関わった武士。各地を転戦して、のちに相模国(神奈川県)の守護に任じられます。

■中原親能 (なかはらちかよし、演・森本武晴)

鎌倉殿の13人

京都で下級役人として務めていましたが、頼朝の挙兵に合わせて頼朝に従い、官僚として活躍。朝廷との交渉に尽力しました。

■二階堂行政(にかいどうゆきまさ、演・野仲イサオ)

鎌倉殿の13人

頼朝の親戚であり、鎌倉幕府草創期を支えた官僚。政所等で実務を担当しました。

■足立遠元 (あだちとおもと、演・大野泰広)

鎌倉殿の13人

頼朝の挙兵当初から頼朝を支えた側近の武士。2代将軍・頼家、3代将軍・実朝にも重用されました。

■八田知家 (はったともいえ、演・市原隼人)

鎌倉殿の13人

頼朝挙兵当初から頼朝に従った武士で、奥州藤原氏を攻めた際には東海道大将軍を務めました。のちに常陸国(茨城県)の守護に任じられました。

■北条義時(ほうじょうよしとき、演・小栗旬)

鎌倉殿の13人

時政の次子。時政のあと政所別当(長官)となります。北条家の家督として鎌倉幕府内の権力を集中させていき、執権政治の基礎を築きます。

そのほかの注目人物

■後白河法皇(ごしらかわほうおう、演・西田敏行)

鎌倉殿の13人

平安時代末期、平清盛に幽閉されて院政を停止されるものの、源頼朝の勢力を利用して平氏を打倒。戦乱のなかで巧みに政治の中枢で生き残りました。

■畠山重忠(はたけやましげただ、演・中川大志)

鎌倉殿の13人

「武士の鑑」といわれた有力御家人で、教科書に載る赤糸縅鎧(国宝)を武蔵御嶽神社(東京都青梅市)に奉納した人物とされます。
畠山重忠と聞くとピンとくる城ファンは多いのではないでしょうか。重忠の居館・菅谷館(埼玉県嵐山町)は続日本100名城に選ばれています。

▶【続日本100名城・菅谷館跡】埼玉県で最高クラスの土の城!鎌倉武士の鑑・畠山重忠も住んでたの? (https://shirobito.jp/article/1327

鎌倉幕府はあくまで東日本における政治権力であって、京都では朝廷が力をもっていました。ドラマで鎌倉幕府と朝廷の関係がどのように描かれるのかにも注目です。

▶入門編①「主人公・北条義時とは?」はこちら

執筆/藪内成基(やぶうちしげき) 
国内・海外で年間100以上の城を訪ね、「城と旅」をテーマに執筆・撮影。著書『講談社ポケット百科シリーズ 日本の城200』(講談社、2021)。『地図で旅する! 日本の名城』(JTBパブリッシング)や『1日1ページ、読むだけで身につく日本の教養365歴史編』(文響社)などで執筆。城めぐりツアー(クラブツーリズム)の監修・ガイドを務める。

イラスト/黒嵜素子(くろさきもとこ)
「日本史が好きなひと。鎌倉時代の御家人がとても好き。」https://mobile.twitter.com/geji2_n

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