2022/12/30
お城を楽しく研究する「城ラボ by 城びと」 お城ファンの気分が上がる!お城スイーツ研究 お城クッキー普請&完成品披露編
お城をもっと楽しくする研究所、「城ラボ by 城びと」主任研究員のいなもとかおりです! 今回は「お城×スイーツ」研究の後半戦。ひたすらこねこねしたクッキー普請と、完成したお城スイーツをレポートします。次のバレンタインどうしようかな〜? と、お悩みのお城好きのみなさん。よかったら読んでいってくださいね。
お城×スイーツ前半のおさらい
「お城ファンの気分が上がるお城スイーツ」をメインテーマに、「織田信長に献上するバレンタインスイーツ」まで作った主任研究員たち。後半戦は、お城クッキーをレポートします。そして、いよいよ全てのスイーツも完成して、お披露目しますよ! 前半の記事をまだ読んでいない方は、まずこちら(https://shirobito.jp/article/1728)からどうぞ。
お城好きを喜ばせたい!「お城クッキー普請」の巻
織田信長に献上するバレンタインスイーツが完成したものの、まだ、お城スイーツをやり足りない主任研究員二人。
いなもと研究員(以下、いなもと)「お城のクッキーがあったらかわいいよね」
久保井研究員(以下、久保井)「それは欲しい〜! プレゼントしてもらったらすごく嬉しいし、プレゼントして喜ぶ顔も見たいよ」
いなもと「嬉しいよね。でも、お城クッキーってどんなデザインがあるかな?」
久保井「やっぱり天守?」
いなもと「そうだね。天守がポピュラーだけど…他にもかわいいデザインがあったりして?
久保井「よーし、『私たちが考える最強のお城クッキー』を作ろう!」
というわけで、引き続きクッキングスタジオなうです。
久保井研究員が信長様献上スイーツに精を出していた頃、一方のいなもと研究員はずっとクッキーの生地を捏ねていました(笑)。わたくし、仕事がら「記事作り」は得意としているものの、「生地作り」は四苦八苦…。主婦だけどクッキングは苦手です〜。
いなもと「クッキーってスイーツ作りの中でも一番簡単だと思っていたけど、全然そんなことないね! むしろ体力勝負って感じ。もう30分くらい捏ねているから腕がパンパンになってきた」
久保井「昔の人も腕がパンパンになりながら城普請していたのだから、がんばって!」
ちなみに「普請(ふしん)」とは、お城を築く際の土木工事全般のこと。石垣を運んだり、堀を掘るよりは簡単な作業のはずだけど…「築城」するって本当に大変です。
生地ができた頃、久保井研究員もクッキーづくりに合流しました!
「まずはお城のどのパーツにする? 王道の天守?」なんて言っていたのに、2人が取り掛かったのは石垣から。ちなみに、久保井研究員は、切込みハギの布積みを…いなもと研究員は算木積みのクッキーを作っています。えー、読者の皆様、話についてきていますでしょうか?(笑)
おっと、ここでいなもと研究員が何かを発見しました。
いなもと「石垣の隅石を「武者返し」にしたいんだけど、包丁で切ると直線になっちゃうから、上にいくに従って急勾配になるように切りたいんだよね。おおお、いい型を見つけたよ」
久保井「ハートの型外側のカーブは、武者返しにちょうどいいんだね。これは立派な研究成果だよ」
バレンタインでクッキー作りを検討中の皆様、ハートのカーブは反りのある石垣の隅角をデザインするのに大変おすすめですよ。
石垣作りが終わった久保井研究員は「狭間(さま)」に取り掛かります。狭間は◯・△・◻️の3種類をあけたかった…ということで、3つあけた分、塀クッキーのサイズがBIGになりました! 屋根に縦線を入れるなど、かなりこだわっています。
それにしても全然天守にとりかからないな、この人たち。
普請の最初の最初、生地作りで体力を消耗したいなもと研究員でしたが、大好きな石垣作りでだいぶ復活! ここでやっと天守クッキーの研究を開始。
久保井「天守の破風って大事だったんだね。破風がないと物足りない!」
いなもと「しかもね、比翼千鳥破風だと変なバランスになるの。3階天守の場合は、千鳥破風1個、もしくは2個がベストバランスだね。それと、しゃちほこがあるとグッと天守感がでる」
久保井「しゃちほこは小さいから折れやすいのが難点だ〜」
「己の求める天守」を再現しようと四苦八苦しながら作ってみると、お城のお土産物などでたまに見るクッキーに似てきました。
いなもと「お店の人もすごく研究なさっているんだろうね」
研究員の試行錯誤は続きます…!
ちなみに、こちらが破風の種類。気になる方は覗いてみてください。
▼「理文先生のお城がっこう 城歩き編 第44回 天守の象徴 破風」(https://shirobito.jp/article/1467)
「お菓子の家」のような立体的なお城も作ってみたかったけれども、ムラがなく上手にクッキーを焼くには、生地の厚さは3〜5mmがちょうどいいらしいです。なので、立体的な天守クッキーを作るには、プラモデルやペーパークラフトのような設計図が必要そう! 今回は時間の都合でトライできなかったけれども、次の機会があれば、立体的な天守クッキーにもチャレンジしてみたいです。
久保井「土のお城のクッキーってすごく難易度高い!」
いなもと「確かに。土塁のクッキーって表現が難しいかな」
久保井「んー。それならば、丸馬出しとかどう!?」
いなもと「そうか! お城のパーツで表現したらいいのか。虎口(こぐち)もいっちゃおう!」
お城のパーツもだんだん揃ってきたので、いよいよクッキーをオーブンで焼いていきます。
天守クッキーからはじまり、武者走りと犬走クッキー、五稜郭クッキーを生み出した後、さらにマニアックに丸馬出クッキー、桝形虎口クッキーと、次々にお城のクッキーを生み出した久保井研究員といなもと研究員。
どのクッキーがどこのパーツを表現しているか、なんとなくわかりますでしょうか? なお、武者走りと犬走りのクッキーは表現が激ムズで失敗に終わりました!(泣)
いなもと「馬出クッキーって、お城を全然知らない人に出して『これ、なーんだ』『棒』『いやいや棒は棒でもただの棒じゃないんだよ、これはお城のね…』みたいなお城トークもできるね!」
久保井「お城布教クッキーだね!」
こうして…お城が好きな人を想って作っていたクッキーが、いつの間にか自分の好きなお城のパーツを形にする方向へシフトしていきました。さらにはお城を布教できてしまうクッキーにも進化! お城への愛がたくさん詰まっています。さて、まとめると…
【完成品ご披露】お城や武将への愛をこめたスイーツができました!
計6品完成しました! ジャジャーン!!
【お城の話が自然にできるケーキ】
前編で「どうやって『お城ケーキ』にしたのか」ナイショにしていたバスクチーズケーキ、こうなりました~!!
いなもと研究員が作った五稜郭クッキーを乗せた「星形?いいえお城です五稜郭バスクチーズケーキ」!!
いなもと「可愛い!お城好きじゃない人も興味を持ってくれそうな見た目だね」
久保井「『これなーんだ』『星だよね?』『んっふっふ。実はこれはお城なんだよ。星形のお城があってね、北海道の五稜郭って言うんだけど…』って、ケーキをきっかけにお城の会話が始まったら嬉しいな」
【信長様へのバレンタイン献上干し柿スイーツ】
「信長様へのバレンタイン献上干し柿スイーツ」完成品はこちら! 献上品なので、見栄えも大事。重箱に懐紙を敷き、その上に置くだけで一気に高級和スイーツ感が増します。
干し柿をよく食べていたという織田信長。その柿を、チョコレート、抹茶あんこときなこ、クリームチーズでアレンジしたスイーツです。同じ干し柿でこれほど味に変化がでるのだから、干し柿好きの信長公も飽きないはず! 長篠の戦いのように、あなたのハートを三段撃ちで確実に射抜きます(三段撃ちは諸説あり)。
鉄砲の玉をイメージしてできたまんまるチョコレート。毒見という名の味見タイムで食べてみましたが、甘さの中にピリ辛を感じられて、想像以上に美味しい!
久保井「七味唐辛子って昔は漢方として用いられていたと言われているよね」
いなもと「胡麻や山椒の香りもいい。体によさそう」
久保井「そういえば徳川家康って自分で薬を調合、服用していたほど健康に気を遣っていたよね」
いなもと「駿府での人質時代は病弱だったみたいだしねえ」
二人「「……徳川家康へ献上したほうがいいんじゃない、これ?」」【お城クッキー】
久保井研究員といなもと研究員の共作、お城クッキー。たくさん焼いたので一部だけお皿に載せました。クッキーってプレゼントしやすいし、手作りバレンタインにももってこいですよね。カラフルなほど見た目は華やかになるかも! 生地の着色おすすめです。
Let's試食タイム。格別のうまさだった
完成したお城スイーツを前に、お腹の虫が鳴りだした城ラボ by 城びと研究員たち。全員で今日の成果をおいしくいただきました! 「織田信長が1番好きな干し柿はどれだと思う?」「チーズ柿かなあ」と武将の反応を想像したり、「この部分クッキーにして大正解だね」などとお城とクッキーの親和性の高さにうなったり。…わたしの好きな熊本城や姫路城にも食べさせてあげたいな。
こうして、お城のことを想いながら、自分たちで作って、自分たちで食べるという最高の結果となりました。大好きなお城のことを想いながら作ったスイーツは、また格別の味! 信長公もきっとどこかで「あっぱれじゃ」と褒めてくださっているはず! 今回のお城スイーツ作りで次への展望が見えたので、第2弾もぜひやりたいです。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。みなさんもよかったらぜひ、自分なりのお城スイーツを作って、「こんなの作ってみたよ」と教えてくださいね。
▲城ラボ by 城びとのほかの記事はこちらをご覧ください!
執筆/いなもと かおり、写真/城びと編集部
お城マニア観光ライター年間120城を巡る城マニア。國學院大學文学部史学科古代史専攻卒。19歳の時に、会津若松城に一目惚れしてから城の虜となる。訪城数は700ほど。国内旅行業務取扱管理者、日本城郭検定1級、温泉ソムリエ、夜景鑑賞士2級の資格をもつ。城めぐりの楽しみ方を伝えるべく、テレビやラジオにも出演中。