特別版 お城EXPO in 姫路 徹底ガイド 「特別版 お城EXPO in 姫路」姫路城世界遺産登録30周年記念展示「姫路城と姫路城下町・姫路藩」

9月16日(土)~18日(月・祝)に開催される「特別版 お城EXPO in 姫路」でお城好きにとって見逃せないのが、姫路城にまつわる企画展示です。今回は、姫路城世界遺産登録30周年記念展示「姫路城と姫路城下町・姫路藩」について、お城EXPOのキュレーターがご紹介します!







姫路城世界遺産登録30周年記念展示「姫路城と姫路城下町・姫路藩」

お城EXPO in 姫路

この展示は、来城者の皆さまに姫路城について、(1)明治時代から現代にかけての保存修理の歴史を紹介する「1.姫路城の修理」(2)明治期以降の修理の過程で交換された部材や考古資料、絵画資料を中心に江戸時代の姫路城について紹介する「2.江戸時代の姫路城」(3)城下町としての姫路や、外港の飾磨津との関係、姫路藩内の生業について紹介する「3.城下町姫路と姫路藩」という3つの視座から紹介することを目的としています。

1.姫路城の修理

「1.姫路城の修理」では、姫路城が現在の姿を保っている大きな要因として、明治・昭和・平成と大規模な修理を行ってきたことがあげられます。

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「姫路城素屋根模型」(1955(昭和30)年頃、姫路市城郭研究室所蔵)

特に、1936(昭和10)年から1944(昭和19)年と1950(昭和25)年から1964(所和39)年に行われた昭和の大修理では、コンクリート基礎の設置や交換部材を極力保存などの取り組みが行われ、世界遺産に認定される遠因となりました。

当コーナーでは昭和の大修理を中心に、明治の大修理や平成の大修理について紹介するとともに、国宝5城における修理や保全活動などについても適宜触れることで、明治以降の城郭への眼差しの変化や象徴となる過程についても射程に入れた内容とします。

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昭和の大修理時に発見された江戸時代の大工道具類

2.江戸時代の姫路城

「2.江戸時代の姫路城」では、池田輝政によって現代の姿となった1609(慶長14)年から明治維新までの江戸時代の姫路城について紹介します。

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歌川貞秀「真柴久吉公播州姫路城築之図」(文久2年(1862)、姫路市城郭研究室所蔵) 最大

姫路城の大規模な修理は1656(明暦2)年、1684(貞享元)年、1692(元禄5)年、1700(元禄13)年(元禄13年)、1743(寛保3)年に行われ、小規模な修理は30回以上行われるなど、江戸時代を通じて絶え間なく修理や改修が行われていました。このような修理の積み重ねによって、姫路城は江戸時代を通じて維持され、各時代の最高の建築・土木技術や職人技の痕跡が至る所に遺されています。また、1823(文政6)年に記された「大工幾蔵姫路城図」には、江戸時代後期の姫路城の各場所が克明に記されています。

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大工幾蔵「大工幾蔵姫路城図」姫路惣社臨時大祭礼(文政6年(1823)、姫路市城郭研究室所蔵)

当コーナーでは、姫路城の昭和の大修理で交換した部材から姫路城の建築技術を絵画資料から縄張や土木技術を中心に紹介します。

3.城下町姫路と姫路藩

「3.城下町姫路と姫路藩」では、城下町姫路は本田忠政が開削した船場川によって港町飾磨津と結ばれることによって、西国街道と瀬戸内海水運の結節点という交通の要衝の役割を果たしており、城下町の活況は「大工幾蔵姫路城図」に描かれた、21年ごとに開催される射楯兵主神社の臨時祭の様子から伺えます。そして姫路藩内では木綿や製塩、皮革など特産品を生産し、肥料として干鰯が大量に流通するなど活発な経済活動が見られました。

お城EXPO in 姫路
「姫路侍屋敷図」(1751(寛延4)-1754(宝暦4)年ヵ、姫路市城郭研究室所蔵)

一方、姫路藩は池田氏を除いて代々譜代大名が治めており、石高が15万石と大藩であることから、手伝普請や幕府中枢での活動による出費や、姫路城の維持管理などにより財政状況はあまり良いものではなかったと考えられます。

そのため、江戸時代後期に姫路藩主を務めた酒井氏が特産品の専売化や江戸への直販などによる財政再建などが行われました。その影響が現在にも残っています。当コーナーでは、上記の視座から姫路城下町と外港飾磨津、姫路藩内の生業と特産品の紹介を行います。 
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「飾磨絵図」(江戸時代、姫路市教育委員会所蔵)

執筆/山野井健五
1977年生まれ。2009年成城大学大学院文学研究科博士課程後期単位取得退学、川口市立文化財センター調査員、目黒区めぐろ歴史資料館研究員、東京情報大学非常勤講師を経て、現在、(株)ムラヤマ、お城EXPO実行委員会。専門は日本中世史。主な業績として「中世後期朽木氏における山林課役について」(歴史学会『史潮』新63号、2008年)、「中世後期朽木氏おける関支配の特質」(谷口貢・鈴木明子編『民俗文化の探究-倉石忠彦先生古希記念論文集』岩田書院、2010年)監修として『学研学習まんがシリーズ まんがで読む 平家物語』(Gakken、2022年)、『学研まんがNEW日本の歴史4 武士の世の中へ』(学研プラス、2012年)

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