(続き)
南門は西門と同規模・同構造の城門で、角柱(の一部)が復元されているくらいですが、先ほど復元された西門を目にしているので、ここにこんな感じで門があったはず…と思い描くことができました。南門の先の高石垣からも眺望が開け、足守川流域を一望することができます。さらに進むとルートは第3水門と第4水門の内側を通り、第3水門はまだしも第4水門は藪に覆われていてよく見えませんでした。東門は西門や南門より小ぶりな城門ですが、門を入った正面を巨大な岩盤で防御しているのが印象的でした。
展望コースは東門まで。東門の先は山並みコースをたどって鬼ノ城を一周します。山並みコースに入ってほどなく鍛治工房跡に到着。説明板によれば、発掘調査で柱穴列や鍛治炉、鍛治作業を示す物が多数確認されたようですが、草木が生い茂っていて現状からはよくわかりません。その先にある第5水門は城壁の土塁上を遊歩道が通っていて、内側には堤を築いて谷川の水量を調整していたようです。遊歩道から城壁の外側へと続く踏み跡があったので、急斜面をストックを頼りに降りていくと、土塁の下の石垣に通水口が開口しています! コースからは少し外れますが、6か所の水門の中で一番状態良く遺っていて、ストックを持ってきた甲斐があるというものです。そして屏風折れの高石垣に到着。伸び盛る木々にずいぶんと覆われていたものの、断崖に聳える高石垣はやっぱり見応えがありました。水分補給しながらひと休みしていると、北麓から沢を流れる水音が屏風折れまで聞こえてきます。散策マップを見てみると、血吸い川の源流で鳴谷と呼ばれているんだとか。なるほど「鳴谷」とは言い得て妙ですね。
屏風折れから北門までの山並みコースは北辺に続く土塁くらいしか見どころがありません(吉備高原の山並みは見えますが…)。北門は東門と同規模の小型の城門で、他の3門と異なり城の搦手側に開口しています。北門から角楼に向かう途中、ちょっと寄り道して林間コース沿いの礎石建物群へ。発掘調査により7棟の礎石建物が発見されていて、説明板のある削平地には管理棟と考えられる礎石建物5の礎石が確認できますが、その他の礎石建物群はコース沿いの藪に沈んでいてよくわかりませんでした。そして山並みコースに戻って角楼で鬼ノ城をひとめぐり。行ったり来たりして写真を撮っていたこともあり所要時間は約2時間半でした。
昨秋に時間があれば…と下調べしていながら来られずにいましたが、今回の遠征で果たすことができました。見慣れた中世山城とは異なる点も多々ありながら、城門に版築土塁と高石垣、水門、そして瀬戸内海まで見渡す眺望など、見応えたっぷりでした。さすがは100名城ですね。
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