東海道と野洲川を見下ろす日向山(多喜山)の頂部に位置する城で、在地土豪の高野氏の詰城と伝わりますが、現在見られる城郭遺構は織田信長の近江侵攻で甲賀に逃れた六角氏の湖南復帰を阻むべく佐久間信盛が築いたものと考えられます。
日向山登山口駐車場(トイレ有)から登城開始。登山口から山頂まで721段の石段が設けられていて歩きやすくはあるものの、急坂を一気に登るのはちょっとキツいので、途中の休憩所で振り返って景色を眺めたりしつつ、10分あまりで山頂に到達。
山頂の主郭は周囲を土塁で囲み、北東隅に穴蔵状の櫓台を設けています。北辺の土塁からは眼下に東海道と野洲川を見下ろし、右手に三上山(近江富士)、遠く琵琶湖を見渡す眺望が開けています。主郭には廃城後に龍王宮が祀られ、井戸跡と思しき竜宮さんの池もありました。主郭の東側には土塁で三度の折れを設けた東虎口が、西側には折れは一度だけながら大石を用いた石垣を施した西虎口が開口しています。西虎口を出た先には三段の小さな曲輪が続いていました。
…と、GW後半のこの日は湖南地方の城をめぐりましたが、六角氏の隠れ城(三雲城)にはじまり、六角氏に味方した一向一揆の城(三宅城、金ケ森城)、六角氏家臣の城(浮気城、青地城)、六角氏に対峙するための城(鈎陣所、多喜山城)と、やはりこの辺りの城は六角氏に関連して築かれているんだなぁ、と再認識させられました。
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