山形城見学後、コンビニのイートインスペースで小腹を満たし、つばさで米沢に向かいました。
5年ぶり2度目の米沢城です。
はじめに、国史跡に登録されている上杉家御廟所(米沢藩主上杉家墓所)を訪ねました。
薄曇りの空の下、しんとした空気の中で出迎えてくれた冠木門の向こうに杉木立の参道がまっすぐ墓所へと続いているのが見えます。
一帯に漂う厳かな気配に誘われるままゆっくりと歩をすすめるうちに、旅の疲れや興奮で乱れていた心が落ち着き、次第に穏やかさと凛とした緊張感に包まれていきました。
「龍」と「毘」の幟の向こう、中央奥に謙信公廟所。
正面に立ち廟所を見つめていると、歴史上の人物として、残された史料の中でのみ知る「上杉謙信」が、イメージとしてではなく実像として目の前に現れたかのように感じました。
そして、土塁の内に整然と並ぶ歴代藩主の御廟。鷹山公の隣、少し奥まったところには若くして亡くなった世子、顕孝公の小さな御廟。
それぞれに導かれる石畳の参道に一代一代の重みを感じ、これが「歴史」なのだとの思いを新たにしました。
廟所の“見どころ”のひとつに建築様式の違いがあります。
流造、入母屋造、宝形造り。時代の変遷を物語る生きた史料として目の前に建ち並ぶそれらは様式美を余すことなく見せてくれていますが、華美な装飾は一切ありません。静かに佇む様は米沢転封ののちの遷座や改変を粛々と受け入れてきたかのようであり、質素な中に秘めた厳かさを感じます。
同時に、経年による老朽化や傷みを14年という歳月をかけて修復され、歴史を未来へ伝える事業を担われた方々のご尽力を思います。この場所へ導かれたのも保存事業というプロジェクトのおかげであり、感謝しかありません。
お詣りを終えて退出しようとしたとき、事務所横の上杉家墓所資料館の扉が開いているのが目にとまりました。小さな建物でしたが、中に入ると墓所の見どころや資料、出土物などの展示があり、思わぬ情報の宝箱でした。この資料館自体がかつて廟所参道の中央に設置されていたと伝わる旧拝殿を利用したものだということでした。
ここから米沢城址へ徒歩で向かいました。
<参考資料等>
・現地説明板
・国史跡米沢藩主上杉家墓所参拝のしおり
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