2023/01/10
【2024年版】寒い季節こそ訪れたい! 雪景色が楽しめる10城
新しい年を迎え、今年はどんな城を訪れようか、楽しみな気持ちがふくらんできますね。まだまだ寒さの厳しい季節が続きますが、東北や北陸にある城では、雪国ならではの姿が見られる絶好のタイミングでもあります。今回は、寒い季節だからこそ訪れたい、雪景色が魅力的な城をピックアップ。各地の冬を満喫できるイベント情報も合わせてご紹介します。
※2023年12月28日更新(本記事は2019年1月の記事を情報更新しています)
[五稜郭/北海道函館市]函館にともる星灯りを見に行こう
街の灯りがきらめく中でも一際輝く五稜郭は、冬の一等星のようだ(画像提供:五稜郭タワー株式会社)
五稜郭(北海道)は、日米和親条約によって開港された箱館の防備のために築かれた城郭で、西洋の稜堡式城郭を手本としています。戊辰戦争最後の戦い・五稜郭の戦いが行われたことでも有名。現在は五稜郭公園として解放されており、北海道を代表する観光地となっています。
函館市は北海道の中でも積雪が少ない地域ですが、12月〜2月にかけては1mほど雪が積もることも珍しくありません。函館に降る雪は、公園内の木々はもちろん、復元された函館奉行所の建物や凍り付いた堀の上まで真っ白に染め上げます。12月はじめごろからは城の水堀をライトアップする「五稜星の夢イルミネーション」が開催されます。隣接する五稜郭タワーは、ライトアップ期間中は19時まで入場が可能。函館の夜景の中で、まるで一等星のように輝く五稜郭を展望台から見ることができます。
[城名]五稜郭
[イベント名]五稜星の夢イルミネーション
[開催時期]2023年12月1日(金)~2024年2月29日(木)
[アクセス]JR函館駅からバス「五稜郭タワー前」下車、徒歩すぐ
[弘前城/青森県弘前市]北端の天守を暖める雪燈籠のほの明かり
天守周辺にも雪燈籠が設置され、夜になると幻想的な灯りで照らされる(画像提供:公益社団法人弘前観光コンベンション協会)
津軽為信(つがるためのぶ)が築城を開始し、息子・信枚(のぶひら)が完成させた弘前城(青森県)。寛永4年(1627)に落雷に見舞われ、天守や本丸御殿を焼失しますが、約200年後に三階櫓として天守が再建されました。これが現在の弘前城天守で、多くのお城ファンが訪れる人気スポットです。
日本有数の桜の名所として知られる弘前城ですが、豪雪地帯でもあるため冬は1m近くの雪が積もることも。普段は緑青色の天守の屋根に真っ白な雪化粧が施され、いつもとは異なる景色が楽しめます。そんな弘前城で行われるのが「弘前城 雪燈籠まつり」。手作りの雪燈籠やミニかまくらが設置され、暖かな灯りが城内を照らし出します。歴史的な建造物を模した大雪像や露店、物産館(物産販売)など昼間のイベントも充実。銀世界の弘前で1日遊び尽くしましょう。
[城名]弘前城
[イベント名]弘前城 雪燈籠まつり
[開催時期]2024年2月9日(金)~2月12日(月・休)
[アクセス]JR弘前駅からバス「市役所前」下車、追手門まで徒歩約1分、雪燈籠まつりメイン会場まで約20分
[払田柵(ほったのさく)跡/秋田県大仙市]いにしえの城柵を飛び交う蛍火
ミニかまくら「蝦夷ほたる」は、かつて払田柵跡周辺を飛び交っていたというホタルを再現したもの(大仙市提供)
払田柵跡(秋田県)とは、律令国家が、えみし支配のために造った城柵遺跡です。文献上では特定されておらず、「謎の古代城柵」とも呼ばれています。創建に使われた外柵角材の年輪研究から西暦801年の伐採と判明し、城柵はその頃に創建されたものと考えられています。1970年代から現在までに外郭南門、大路、政庁などが復元されました。
払田柵跡がある秋田県大仙市は、市内の一部が特別豪雪地帯に指定されるほど降雪量が多い地域。銀世界の中に埋もれる南門の姿は、東北の冬の厳しさを見るものに示すかのようなたたずまいです。
この払田柵跡を会場に毎年2月、地域住民や子どもたちが作った約1000個のミニかまくら「蝦夷(かい)ほたる」が遺跡内を幻想的に照らす「払田柵の冬まつり」が開催されています。メインイベントとなる蝦夷ほたる点灯のほか、子どもが雪遊びを楽しめる「ゆきんこまつり」、各種あったかグルメ出店など様々なイベントが行われています。
[城名]払田柵
[イベント名]払田柵の冬まつり
[開催時期]2024年2月3日(土)
[アクセス]JR大曲駅からバス「埋蔵文化センター」下車、徒歩すぐ
[横手城/秋田県横手市]横手のかまくらに入ってたんせ
かまくらとは元々水神様を祀る正月行事。水神様にお賽銭をあげて、中にいる子どもたちから甘酒やお餅の振る舞いを受けよう
横手城(秋田県)は、出羽の国人・小野寺氏が築き、本拠地としていた城です。江戸時代には久保田藩の支城となります。天守の存在しない城でしたが、1965年に岡崎城を模した模擬天守が建てられました。天守の内部は資料館となっており、横手の歴史を学ぶことができます。
横手城が建つ横手盆地は全国でも有数の豪雪地帯で、子どもがすっぽり埋まるほどの雪が積もることも。城周辺も白く覆われ、雪の重みから木々を守るための冬囲いや雪吊りが冬の風情を盛り上げます。雪帽子をかぶった天守の下で行われるのが、「横手の雪まつり」。横手公園と横手市役所前道路公園の2会場に手作りのかまくらが登場し、訪れる人を楽しませてくれます。まつりの締めくくりは「旭岡山神社梵天奉納祭」。男衆がきらびやかな「ぼんでん(梵天)」を担ぎ、競い合いながら神社へ向かう勇壮な姿は、寒さを吹き飛ばしてしまうほどに町をアツく盛り上げます。
[城名]横手城
[イベント名]横手の雪まつり
[開催時期]「かまくら」:2024年2月15日(木)・16日(金)/「ぼんでん」:2024年2月16日(金)コンクール、17日(土)奉納
[アクセス]JR横手駅から徒歩約30分
[鶴ヶ岡城/山形県鶴岡市]庄内の郷土料理を食べて身も心も温まろう
鶴岡市では、早ければ11月から雪が降りはじめる。鶴岡公園の堀端にも雪が降り積もり公園全体が真っ白に(鶴岡市提供)
鶴ヶ岡城(山形県)は前身となる大宝寺城が鎌倉時代に創建され、江戸時代に酒井忠勝(さかいただかつ)によって近世城郭へ改修されました。現在は鶴岡公園となっており、藩主を祀る荘内神社や郷土人物資料館となっている大宝館があります。城の三ノ丸にあたる場所には旧藩校・致道館が現存。
鶴岡市は、降雪量自体はさほど多くありませんが、日照時間が少ないため雪が溶けにくく、長い期間雪景色を楽しめます。荘内神社や大宝館も雪で真っ白に染め上げられ、普段とは違う荘厳な雰囲気を味わえるでしょう。積雪が本格化する12月下旬から2月にかけて行われるのが、「鶴岡冬まつり」。大宝館のライトアップが行われる他、「日本海寒鱈まつり」「金峯山雪灯篭」など身体の芯から温まるイベントが目白押しです。
[城名]鶴ヶ岡城
[イベント名]鶴岡冬まつり
[開催時期]2023年12月23日(土)~2024年2月29日(木)
[アクセス]鶴岡駅からバス「市役所前」下車、徒歩すぐ
[米沢城/山形県米沢市]軍神上杉謙信を祀る上杉神社を中心に、雪灯篭の幻想的な世界が広がります
無数の雪灯篭の明かりが立ち並ぶ様は幻想的な美しさ(米沢観光コンベンション協会提供)
伊達政宗が誕生した城として知られる米沢城(山形県)。江戸時代には米沢藩上杉氏の居城でした。現在、本丸跡は上杉謙信を祀る上杉神社となっており、二の丸跡に上杉家の邸宅として建てられた「上杉伯爵邸」では、郷土料理を味わったりすることができます。
米沢城がある米沢市は、寒さが厳しく降雪量も多い地域です。上杉神社も一面が雪に覆われ、荘厳な雰囲気となります。米沢城では、例年2月に「上杉雪灯篭まつり」を開催。城址周辺をメイン会場として、約200基の雪灯篭と1000個あまりの雪ぼんぼりが立ち並ぶ幻想的な様子が楽しめます。毎年異なるテーマを設けたキャンドルゾーンも設置され、県内外の美味しいものが集うテント村物産展や地元米沢で活躍するパフォーマーによるステージイベントも開催されます。
[城名]米沢城(山形県)
[イベント名]上杉雪灯篭まつり
[開催時期]2024年2月10日(土)・11日(日・祝)
[アクセス]JR米沢駅からバス「上杉神社前」下車、徒歩すぐ
[会津若松城/福島県会津若松市]幻影的な会津絵ろうそくの灯り
雪の中に優しい光を灯す会津絵ろうそくと、雪をまとった天守(画像提供:会津まつり協会)※2018年開催時の写真
幕末の戊辰戦争で有名な会津若松城(福島県)。地元では「鶴ヶ城」と呼ばれ親しまれるこの城は1か月にわたる籠城戦の舞台となりました。新政府軍の砲撃でぼろぼろになった天守は取り壊されたのち、1965年に外観復元され、現在は幕末当時と同じ赤瓦に葺き替えられた姿を見ることができます。
会津地方は盆地のため、夏は暑く冬は寒い気候となっており、豪雪地帯にも指定されています。会津若松市はその中でも比較的降雪の少ない地域なので、訪れやすいのがポイント。赤瓦が特徴的な会津若松城ですが、この瓦は東北で寒い時期の凍み割れ対策として開発されたもので、11月頃からは雪が降り積もった姿を見ることができます。2月上旬の「会津絵ろうそくまつり~ゆきほたる~」では、会津の伝統的工芸品のひとつである「絵ろうそく」約1万本が、城をはじめ市内各所の雪景色を幻影的に彩ります。
[城名]会津若松城
[イベント名]会津絵ろうそくまつり~ゆきほたる~
[開催時期]2024年2月9日(金)・10日(土)
[アクセス]JR会津若松駅よりバス「鶴ヶ城入口」下車、徒歩すぐ
[松本城/長野県松本市]冬景色でより映える白と黒のコントラスト
堀の水面に城影が映る「逆さ城」も雪の季節になると美しさが格別(画像提供:松本市役所観光プロモーション課)
国宝にも指定された現存天守が見事な松本城(長野県)。徳川家康や豊臣秀吉に仕えた石川数正(いしかわかずまさ)によって初めて天守が立てられ、その息子康長(やすなが)の時代に現在の五重六階の大天守へ改修されたといわれています。現存する最古の五重六階天守でもあり、北アルプスの山々を背にした美しい姿が人気です。
長野県の松本市は雪が多い地域ではありませんが、1月から2月にかけては10cmほどの積雪が観測されることも。白と黒のコントラストが美しい松本城の天守は雪景色の中でも見事な姿を見せてくれます。また、白く染まった北アルプスも城を引き立て、より壮大な美しさが楽しめます。
全国屈指の氷彫師が制作した、ダイナミックで繊細な氷の像が松本城公園に展示される(画像提供:松本市役所観光プロモーション課)
そんな松本城の冬の風物詩が「国宝松本城氷彫フェスティバル」。花時計公園や駅前広場など街中各所に氷の彫刻が立ち並び、イルミネーションと連動した氷の城下町を散策できます。全国屈指の氷彫師チームによるチャンピオンシップも必見です!
[城名]松本城
[イベント名]国宝松本城氷彫フェスティバル2024
[開催時期]2024年1月26日(金)~1月28日(日)
[アクセス]JR松本駅より徒歩約15分
[越前大野城/福井県大野市]冬空を彩る花火と城のコラボレーション
ライトアップされた模擬天守と冬の夜空を華々しく飾る花火
越前大野城(福井県)は四方を山に囲まれた大野盆地内の亀山に立つ平城。山のふもとには織田信長の家臣である金森長近(かなもりながちか)によって築かれ、奥越前の中心地として栄えた城下町が広がります。朝霧が濃い日にはこの町が雲海に包まれ、「天空の城」とも呼ばれる神秘的な風景が見られることでも知られています。
雪の多い日本海式気候にあたる福井県の中でも、地形や季節風の影響を受けて冬の気温が低くなりやすい大野は、記録的な積雪が観測されることもある地域。野面積の石垣に白い雪が積もった越前大野城の様子は、いっそうの風情が感じられます。2月頭に開催される「越前おおの冬物語」は、城と花火のコラボレーションが見所で、他にも城下町を幻想的に彩る雪見灯篭や、冷えた身体を温めてくれる食べ物などを楽しむことができます。
[城名]越前大野城
[イベント名]越前おおの冬物語
[開催時期]2024年2月3日(土)
[アクセス]JR越前大野駅より徒歩15 分
[出石城/兵庫県豊岡市]山城と山麓居館が白銀の装いをまとう
有子山の山麓にたたずむ出石城。寒さの厳しい季節になると一面が雪に覆われる(画像提供:豊岡市)
標高321mの有子山に築かれた有子山城の城主・小出吉英が、慶長9年(1604)、その山麓に居館として出石城を築城。階段状に設けられた曲輪にそびえる高石垣が圧巻で、城郭の最上段からは城下町を一望できます。建物は明治の廃城令で破壊されましたが、隅櫓、登城門、登城橋などが復興されています。
豊岡市を含む但馬地域は比較的雪が多い地域として知られ、冬に寒さが厳しくなると有子山と山麓の出石城も一面が美しい雪に包まれます。山城と山麓居館の雪景色がセットになったお城は全国でもなかなか見られません! また、出石城では通年で18時から21時30分までライトアップを実施。冬化粧した出石城が雪夜に浮かび上がる幻想的な光景を楽しむことができます。
[城名]出石城
[イベント名]なし
[アクセス]JR豊岡駅から全但バス出石行きに30分乗車し「出石営業所」下車、徒歩5分
※各イベントは内容を変更する場合がございます。イベントの最新情報は公式ホームページなどでご確認ください
執筆者/かみゆ歴史編集部(町田裕香・小関裕香子)
ポップな媒体から専門書まで編集制作を手がける歴史コンテンツメーカー。かみゆ歴史編集部として著書・制作物多数。
城びと編集部