超入門! お城セミナー 超入門! お城セミナー 第10回 |【構造】:お城ってどんな場所につくるの?

初心者向けにお城の歴史・構造・鑑賞方法や、お城の用語など、ゼロからわかりやすく解説する「超入門!お城セミナー」。今回のテーマは城を築く場所について。無敵の城をつくるには場所選びが肝心なのです。

城は攻められにくい場所に築くもの!

今回は、城の立地のおはなしです。城をつくる場所の条件について考えてみましょう。

これを探るにはまず、「城の役割」を再認識。もともと城は住むためのものではなく、敵から身を守るための軍事的防御施設。「攻められにくく守りやすい場所」が理想的です。

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左/一乗谷朝倉氏遺跡の朝倉館跡の唐門。背後には詰城・一乗谷城が築かれている  右/一乗谷城宿直跡からは福井平野一体を見渡すことができる

そこでまず思いつくのは、高い所。人気上昇中の山城は、まさにコレです。南北朝時代は、騎兵の攻撃を防ぐため急峻な山そのものを要害とし、その山頂に臨時的な軍事施設として城が築かれました。戦が日常化した戦国時代になると、この山城が恒常的な軍事施設になっていきます。谷や尾根など自然地形を活かした山城は一つとして同じ縄張のものはなく、曲輪や切岸・土塁・堀切などを駆使して防御性を高めました。でも住むには不便なので、武田氏館要害山城(山梨県)や一乗谷朝倉氏遺跡と一乗谷城(福井県)のように、平時の麓の居館と非常時に詰める山城のセット形態が増えていきました。

守りたい場所に山がない場合はどうしましょう? 山がダメなら…そう、丘や平地しかありません。川の浸食によってできた河岸段丘にある根城(青森県)・箕輪城(群馬県)・鉢形城(埼玉県)や、土地が隆起した台地の突端にある江戸城(東京都)・川越城(埼玉県)・名古屋城(愛知県)、湿地にある忍城(埼玉県)などは、中世から存在していた山城以外の城です。変わったところでは、能島城(愛媛県)のように島を城としたものもあります。

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荒川から見た鉢形城二の丸。鉢形城は荒川と深沢川に囲まれた丘陵上に築かれている

石垣の発展により平地に城が築かれる

織田信長の安土城(滋賀県)以降、近世城郭の時代になると、石垣技術の発達によって「人工的に要害をつくる」ことが可能になったため、不便な山城ではなく便利な丘や平地に城を築くことが主流となり、家臣や職人・商人が住む城下町とセットで築かれるようになりました。

このように城の立地はさまざま。でも山頂や丘や台地ならどこでもいいわけではないですし、平地ならなおさら要害になり得る要素がほしいところです。

中世から近世にかけて城は高い所から低い所へと移り、外見や構造が複雑化・多機能化しましたが、軍事的防御施設であることに変わりはありません。高度に関係なく、「攻められにくく守りやすい」城にするために備えておきたい共通の条件。それはズバリ、「川と道」です。防御用の堀と物資運搬用の運河を兼ねる川(または海や湖)。そしてまとまった軍が通らざるを得ないため、監視・迎撃しやすい街道などの主要な道(海路も含みます)。この2つを備えた場所が、城に適した立地といえるでしょう。

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徳川将軍が京都での宿所とした二条城(京都府)。大規模な堀を築くことで、京都の街中にありながら堅固な守りを実現している

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彦根城(滋賀県)は城下町の土地確保と惣構堀に利用するため、芹川の流れを付けかえている

町全体を囲む惣構(防御ライン)を築いて城下町を城に組み込むなどして街道や川を城に引き込んだ例は少なくありません。この手の遺構はよく残っているので、城下町ではぜひ道筋や川筋を意識してみて下さいね。

河岸段丘や島などに築かれた城については、この連載で後日取り上げますので、お楽しみに!


執筆・写真/かみゆ歴史編集部
「歴史はエンタテインメント!」をモットーに、ポップな媒体から専門書まで編集制作を手がける歴史コンテンツメーカー。手がける主なジャンルは日本史、世界史、美術史、宗教・神話、観光ガイドなど歴史全般。主な城関連の編集制作物に『日本の山城100名城』『超入門「山城」の見方・歩き方』(ともに洋泉社)、『よくわかる日本の城 日本城郭検定公式参考書』『完全詳解 山城ガイド』(ともに学研プラス)、『戦国最強の城』(プレジデント社)、『カラー図解 城の攻め方・つくり方』(宝島社)、「廃城をゆく」シリーズ(イカロス出版)など。

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