徹底ガイド「特別版 お城EXPO in 熊本 2026」 2052年完全復旧の熊本城!今だけの謎と見どころ

天下の名城・熊本城は2016年の熊本地震で被災し大きく損害を被りました。発生から10年が経過した現在、天守閣や長塀などの復旧が完了したものの、すべての工事を終える完全復旧は2052年になる予定です。「いろいろ工事中だから、今あまり見どころがないのでは……?」と思っている方も多いかもしれませんが、実はその逆です! 現在の熊本城のディープな魅力と復旧への歩みを、熊本城調査研究センター所長の岩佐康弘さんに伺いました。

熊本城には七不思議がある! 

熊本城の魅力の一つ! 熊本城に古くから語り継がれる「七不思議」があるのです。今回はその中から、思わず現地で確かめたくなる3つをピックアップしてみました。

熊本城
写真提供:熊本城総合事務所

①天守閣と同じ高さになると……?「大銀杏」
 天守閣の前には巨大な銀杏の木があります。実はこの大銀杏、植えられた時「天守閣と同じ高さになったら、熊本城で異変が起きるだろう」という予言がされた木なのです。時は流れて明治10年(1877) 西南戦争が起こった時、銀杏の高さは天守閣の高さだったと言われています。ちなみに、この時の戦火で天守とともに燃えてしまったのですが、焼け跡から脇芽が再び力強く芽吹き、大きく成長しました。熊本城の「復旧」というコンセプトにもぴったりな存在ですね。

熊本城
写真提供:熊本城総合事務所

②忠臣?それとも……?「首掛け石」 
宇土櫓のすぐ近くに、「U」字型の巨大な石があります。横手五郎なる人物が、父の仇を討つべく加藤清正に近づくため、自身の有用性を示そうと自分の首にこの石をかけて運んだという逸話が残されていますが、さて、真実は……?

熊本城
写真提供:熊本城総合事務所

③いざという時の備えあれば憂いなし?「抜け穴伝説」
本丸御殿の「団扇の間」の床下から不開門に通じる抜け穴があったとか……? 不開門は鬼門封じに造られ、通常は閉まっており、死者や汚物などの不浄なものを運び出すときだけ開かれたと言われる門。実際に通ることがあったかどうか定かではありませんが、怖そう……!

熊本城
闇り通路(くらがりつうろ)。写真提供:熊本城総合事務所
 
さて、残りの不思議は何でしょうか? それはぜひ、新しくなった天守閣に実際に足を運び、展示の中でご自身の目で確かめてみてくださいね。

熊本城


総額いくらかかる?「実ははっきり分からない」莫大な復旧費用

これも熊本城にまつわる「謎」の一つと言える!?お金のお話です。
今回の熊本地震における被害額は、当初634億円と算定されていました。しかし、これはあくまで「元の形に戻すだけ」の金額です。実際には耐震補強などのプラスアルファの作業を1箇所ずつ確認しながら進めていることなどから、算出するのは困難なのだそうです。

熊本城
「熊本城復旧基本方針 」平成28年12月 熊本市 発行より転載

そんな復旧費用の約半分は国(国土交通省や文化庁)からの補助で賄われ、残りの半分は市の借金と「復興城主」などの一般の方からの寄附で半分ずつ賄われています。つまり、全体の約4分の1は企業から一般の方々まで幅広い寄附に支えられているということです。

熊本城
天守閣内部展示(4階 復興城主デジタル芳名板)。写真提供:熊本城総合事務所

実は、熊本城が市民の力で甦るのは今回が初めてではありません。なかには驚くべき「寄附の伝説」も残っています。
昭和35年(1960)の天守再建時、総額約2億円の費用のうち5000万円を市民の寄付で募る計画を立てたところ、なんとたった一人の寄附でいきなり5000万円の目標を達成してしまったそうです。すごすぎますね!
大正末期に倒壊寸前だった宇土櫓も、昭和2年の大修理の際には市民の募金活動によって費用が賄われ、一度解体し、補強を施しながら組み立て直すといった修理が行われました。

現代でも個人で数千万円の寄付をする方もいらっしゃるそうですが、「1円でも1億でもかけられる熊本城への思いに違いはない」として、現場ではすべてのお気持ちに感謝しながら復旧に当てているそうです。熊本城がいかに多くの人々に愛され、守られてきたかが分かりますね。

崩れたからこそ見えた!復旧作業で掘り起こされた「歴史的大発見3選」

 地震は大変痛ましいマイナスの出来事ですが、石垣が崩れたり解体されたりしたことで、今まで見えなかった内部構造が明らかになり、新たな発見が相次ぐというプラスの側面も生まれています。何百年もの間眠っていた歴史のミステリーが、今まさに掘り起こされているのです。そんな歴史的発見の3つをご紹介します!

【発見1】宇土櫓の石垣、実はもっと高かった!

これまで高さ21mとされていた宇土櫓五階櫓下の石垣ですが、発掘調査を行ったところ、なんと土に埋もれていた部分が見つかり、実際の高さは約25mであったことが判明しました。従来より4〜5mも高かった!

熊本城
写真提供:熊本城総合事務所

【発見2】石門に隠された江戸時代のハイテクインフラ

石垣の下部に作られたトンネル状の施設「石門」の地下から、蓋のついた排水溝(暗渠)が発見されました。埋まっていた部分を含めると高さ1.6m以上もあり、人が歩いて通れる通路と排水の2つの機能を兼ね備えた優れた施設であったことがわかりました。

熊本城
写真提供:熊本城総合事務所

【発見3】石垣の中から現れた「幻の古い石垣」

飯田丸五階櫓の崩れた石垣を修理のために解体したところ、なんとその石垣の中から、加藤清正が築城した当時の古い石垣が姿を現しました。かつて櫓台の大規模な拡張工事が行われたことを物語る大発見です。

熊本城
飯田丸五階櫓石垣 埋没石垣。写真提供:熊本城総合事務所

さらに、復旧のためのボーリング調査により、築城に際し最大10数mに及ぶ盛土層が確認されるなど、大規模な地形改変が行われていたことも判明。備前堀では白川の旧河川の堆積物も見つかり、加藤清正が「土木の神様」であったことが物理的にも証明される結果となりました。

コラム】歴史ミステリー・「宇土櫓」は謎だらけ
国指定重要文化財である宇土櫓、かつては小西行長の宇土城の天守を移築したという有名な説がありましたが、現在は否定されているようです。土台となる石垣は加藤忠広の時代に相当する積み方である一方、建物自体はそれより古い時代の様式という矛盾を抱えています。宇土櫓がいつ、どこで創建されたのか?など、実はいまだにはっきりしないことが多く、謎に包まれています。
なお、この宇土櫓が今回の地震で倒壊しなかったのは、前述した「昭和2年の大修理」で施されたコンクリート基礎や鉄骨の筋交いといった補強のおかげである可能性が高いと考えられています。現在の解体保存工事(完成予定は2032年度)は、この最大の歴史ミステリーの真相に迫る、極めて貴重な機会でもあるのです。
熊本城
宇土櫓。地震前の姿。提供:熊本城総合事務所

工事中こそがベストタイミング!? 地上6mの空中回廊から覗く「お城の裏側」 

「今しか見られない、特別な熊本城」を安全かつディープに楽しめるスポット、気になりますね。はい、こちらについても伺いました!

①「特別見学通路」からの新しい絶景
熊本城
特別見学通路からの眺め(天守閣復旧後)。提供:熊本城総合事務所

 地上約6mの高さに設置されたバリアフリーの空中回廊からは、今までとは全く違う視点で、復旧中のエリアや石垣、城内を安全に見渡すことができます。

熊本城
特別見学通路からの眺め(天守閣復旧後)。提供:熊本城総合事務所

なかでも 特別見学通路からの1番のビュースポットがここ!「二様の石垣」!! 加藤清正の時代とその息子忠広の時代、二つの時代の異なる石垣が隣り合っており、積み方の違いを一目で比べることができます。

熊本城
二様の石垣。提供:熊本城総合事務所

今年10月からは「秋のお城まつり」の開催が予定されているそうです。人工の雲海に浮かぶ熊本城を高い特別見学通路から見られるイベントもあるとのこと、こちらも見逃せませんね。 


歴史の裏側が!想像するとアツイ宇土櫓の解体保存工事
現在進行中の宇土櫓の解体現場では、普段は絶対に見ることができない石垣の内部構造など、お城の「裏側」が姿を現しています。残念ながら、工事中は覆いに囲われて中を覗き見ることができませんが、目の前で歴史的シーンが繰り広げられていることを想像すると、胸が熱くなりますね。

熊本城
北口側(第1スロープ手前)から撮影。提供:熊本城総合事務所

⭐「今だから」なんて限定じゃない!いつもおススメなポイント
① 天守閣および天守閣内容の展示、展望
熊本城
天守閣内部展示(1階 テーマビジュアル)。提供:熊本城総合事務所

天守閣内の展示は、加藤期→細川期→近代→現代のように階を上がるごとにまとめらている時代が変わるので、とても分かりやすい! 熊本城がさまざまな出来事を乗り越えてきたことをしみじみと感じられます。また、実は、天守閣の石垣も二様の石垣と同様に時代の異なる石垣であることをご存じでしょうか? 大天守が加藤清正時代、小天守が忠広の時代なのです。

② 熊本市役所14F展望スペース
広い広い熊本城域ですが、ここからは城内を一望できるのです! 22:00まで開いているので、夜景も楽しめます。

熊本城
天守閣復旧後 市役所14F。提供:熊本城総合事務所

③ 加藤神社
城内にある神社で、主神は加藤清正。宇土櫓、大天守、小天守の眺めは最高です。現在、宇土櫓は復旧工事中のため素屋根に覆われています。

熊本城
宇土櫓・天守閣 加藤神社。地震前の姿。提供:熊本城総合事務所

 「特別版 お城EXPO in 熊本 2026」と未来へ繋ぐお知らせ

熊本城
 
2052年の完全復旧という途方もない道のりは、次代へ素晴らしい文化財と技術を引き継ぐための大切な歩みです。
そんな歩みを止めないため、熊本城を未来へ繋ぐため、今年10月3日(土)~4日(日)に「特別版 お城EXPO in 熊本 2026」が開催されます。そして現在、このイベントを通じて熊本城の復旧をさらに後押しするためのクラウドファンディングが進行しており、6月12日、目標額を達成しました!
熊本城
▼ プロジェクトの詳細・ご支援はこちらから(READYFOR クラウドファンディングページ) 熊本城|2052年の完全復旧へ、みなさまと共に歩み続けるために

担当の方からメッセージを頂きました。

この度、本プロジェクトは皆様からの温かいご支援のおかげで、目標金額の500万円を達成することができました。
ご支援いただいた皆様、応援や情報発信に協力いただいた皆様に、心より感謝申し上げます。
熊本地震から10年という節目に開催する「特別版 お城EXPO in 熊本 2026」への期待を、多くの方々に寄せていただけたことを大変嬉しく感じています。
クラウドファンディングは終了まで引き続き実施しております。いただいたご支援を力に変えて、皆様に「支援して良かった」と思っていただけるイベントとなるよう、準備を進めてまいります。
引き続き温かいご声援をよろしくお願いいたします。

ご支援へのリターンには、お城ファンの心をくすぐる素敵な品々が多数用意されています。 本プロジェクト限定デザインの御城印や御城印帳をはじめ、美しい新彫金飾り皿や肥後象嵌ボールペンといった記念グッズがラインナップに。さらに、大林組さんによる熊本城案内・栗石メッセージ書き体験、著名な先生方の講演チケット、さらには驚きの甲冑工房丸武製「加藤清正兜」まで、バリエーション豊かです。

募集期間は、6月19日(金)23:00 までとなっています。 復旧という新たな歴史を歩み続ける熊本城。あなたもその物語に、応援という形で参加してみませんか?

執筆/城びと編集部 画像提供/熊本城総合事務所ほか