小学生・中学生 城の自由研究コンテスト アイデア豊かな作品が続出!第19回小学生・中学生「城の自由研究コンテスト」レポート

毎年、小・中学生による「城」をテーマにした自由研究が集まる「城の自由研究コンテスト」。その年の優秀作品は年末に開催される「お城EXPO」で展示され、大人顔負けのハイレベルな作品の数々をご覧になった方も多いでしょう。今回は、2020年度に募集された第19回小学生・中学生「城の自由研究コンテスト」の審査結果をレポート。また併せて、審査委員長の加藤理文先生による講評もご紹介します。




「城の自由研究コンテスト」とは?

城の自由研究コンテスト

毎年小学生・中学生を対象にお城をテーマにした自由研究を募集し、12月に入賞作品を発表、翌年1月に表彰式を行っているコンテスト。2016年から優秀作品が「お城EXPO」で展示されるようになり、お城ファンの間での認知度も注目度も一気にアップしました。個人でも団体でも応募でき、応募作品は1次審査から最終審査まで3回の審査を経て、文部科学大臣賞、日本城郭協会賞、ワン・パブリッシング賞、審査員特別賞、優秀賞、佳作を選出。審査員の先生方によると、応募作品の完成度は年を追うごとにアップしているそうです!

第19回小学生・中学生「城の自由研究コンテスト」審査結果を発表!

2020年に募集された第19回のコンテストは、個人応募52作品、団体応募16団体220作品の計272作品の応募がありました。コロナ禍の影響もあり応募数は前年を下回りましたが、住まいの近所にある城郭跡を研究テーマにしたものも多く見られ、今まで訪ねたことがなかった城郭に目を向けたり、今までにない視点と切り口による研究が目立ったそうです。

そんな中、33作品が1次審査を通過し、さらに18作品が2次審査を通過。そして最終審査で各審査員の採点と評価で最高得点を集めた作品に文部科学大臣賞、続く高得点の作品に日本城郭協会賞とワン・パブリッシング賞を受賞 。それでもなお審査員泣かせの優秀作品が多かったことから、今回は審査員特別賞に3作品、優秀賞に4作品、佳作に8作品が選ばれました。

城の自由研究コンテスト
お城EXPO 2020での展示の様子

では各部門の受賞作品を、審査委員長を務めた日本城郭協会理事・加藤理文先生による一部講評と併せてご紹介しましょう。

■文部科学大臣賞
「名護屋城の陣屋跡にみる戦国大名たちの朝鮮出兵」(土橋優里さん/中2)
城の自由研究コンテスト

城の自由研究コンテスト

陣所の高低差に注目し、布陣大名の関係の共通性を求め、そこから石田三成と徳川家康という2人の人物に注目し、家康包囲網と白の周囲に信頼できる武将を配置したという考えは、非常に斬新です。関ヶ原の戦いがこの時からすでに始まっているという結論は、極めてユニークで面白い発想です。独自の仮説と、それを検証していく過程は、大変見事でした。そこに取材による裏付けを付加したことで、結論に大きな説得力を持たせることが出来たのは素晴らしかったと思います。(加藤理文先生による講評、以下同)

■日本城郭協会賞
「『石垣築様目録』の暗号表の謎を解く~丸亀城との関連性~」(山中槙子さん/中2)
城の自由研究コンテスト

地元の丸亀城の最大の特徴である石垣に特化し、石垣の積み方の秘伝書に書かれている暗号解読や「勾配」を図式化し、現存石垣との整合性を確かめる過程は、意義深く良く仕上がっています。

■ワン・パブリッシング賞
「道庭城のなぞ」(足立晴音さん/小4)
城の自由研究コンテスト

近くの田んぼと線路しかない場所に地図のみに記された道庭城への謎から踏み込み、県全体に対象を広げ、「謎の城」へと迫る調べ方は、小4とは思えない出来ばえです。結果は思い通りにならなくても、調査の過程で多くのことを学び、視野を広げ、歴史研究の楽しさを知ることができたのが一番の宝だと思います。

■審査員特別賞
城の自由研究コンテスト

「城主なき現代の城 どう管理・活用し守っていくのか」(村口陽音さん/小4)
着眼点が面白く、郷土愛溢れる新鮮で興味深い内容でした。制度的・組織的・経済的なしくみ等踏み込んで調べており、またボランティア、観光、校外学習など多様な情報を集め、総合的な学習の時間にふさわしいまとめ方をしています。

「今川氏の詰城、賤機山城を考える~今川氏は駿府をどのように守ろうとしたのか~」(望月洸志さん/小5)
前回の研究から感じた問題点の究明に仮説を立て、現地実踏、周辺調査による情報収集、県外にある同時期の詰城の実踏と比較、駿府防衛の見直し、模型製作など、時間と体力を費やし、自分の目と耳と足で調べ、実証していこうとする熱意溢れる作品だったことが高評価を得ました。

「島津の内城移転計画~なぜ島津氏の居城は今の場所に築かれたのか?~」(榎園大熙さん/中3)
内城の移転候補地4ヶ所を詳しく調べ、実際に現地踏査を実施しています。その結果から、移転した場合の問題点を考察し、最終的に外城制を含め、複数の城郭による鹿児島防御に行き着くまでの過程を評価しました。

■優秀賞
「~ぼくの住むまちにも城があった!?~大博士の城跡を調べる」(原田俐空さん/小5)
「青梅の中世城館」(峯岸佑樹さん/中3)
「山梨の城館」(片岡義秀さん/中3)
「飯綱町地域における城館研究を中心とした中世史の俯瞰」(堀江勇太さん/中3)
身近な城にスポットをあてたり、直接現地に行って城跡を調べたり、城郭研究の基礎となることが良くできており、今後もそうした活動を地道に積み重ねていくことができれば、さらに作品の完成度が上がると思います。

■佳作
「お城好きではないぼくが考えるお城のみりょく」(鵜飼壮さん/小3)
「戌の満水(いぬのまんすい)~松代城の戦い~」(佐々木拓真さん/小4)
「山中城における合戦と、その後の北条家についての研究」(山本創心さん/小4)
「日本の城×SDGs -城の未来を考える- 海外の城を見て感じたこと」(竹内真利さん/小6)
「武田の詰城〈要害山城〉のもう一つの顔~武将の居住地から考える~」(永山勘太さん/小6)
「城の減少を防ぐには」(辻󠄀野広崇さん/小6
「まぼろしの西洋式城郭『山口城』について」(牛見真太郎さん/小6)
「松本城を伝説で斬る」(吉田真結さん/中1)
いずれの作品も、論の展開が、極めて巧みになっています。実際の現地踏査による裏付けを実施し、結論に大きな説得力を持たせるようになっていました。

■団体賞
残念ながら今年度該当する団体はありませんでした


コロナ禍だからこその工夫が光る!お城の研究はいくらでもできるを体現

入賞18作品は今回も「お城EXPO」で特別展示されました。なお、受賞者全員とその家族・関係者などを招いて例年実施されている表彰式は、コロナ禍ということもあり今年度は見送りに。「お城EXPO 2020」に足を運んだ上位入賞者の方のみ、賞状が授与されました。

新型コロナウイルス感染症の終息が見えず、お城への自由な訪問外出が制限される中、地域の身近なお城を対象にするなど“今、自分たちにできること”を通じて研究に取り組んだ小学生・中学生たちの熱意と工夫が印象的だった第19回コンテスト。今回応募した方も応募できなかった方も、次回のコンテストで自らのお城愛とアイデアを込めた、自分にしかできない自由研究にぜひチャレンジしましょう!

小学生・中学生「城の自由研究コンテスト」

主催 公益財団法人日本城郭協会/株式会社ワン・パブリッシング
後援 文部科学省/読売KODOMO新聞/城びと
協力 童友社

城の自由研究コンテストについては、日本城郭協会のサイト(http://jokaku.jp/educational-programs/shiro-contest/)をチェック!

第18回コンテストの表彰式レポートはこちら
・「来年度へ向けてのアドバイスも! 第18回小学生・中学生「城の自由研究コンテスト」表彰式レポート」(https://shirobito.jp/article/1031

執筆:城びと編集部、写真:お城EXPO実行委員会・城びと編集部

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