ウモ&ちえぞー!に聞く城旅のコツ ⑫ もっと山城を楽しむ持ち物・服装選び

夫婦二人で6000近くの城を訪れているウモ&ちえぞーさんが、城めぐりの計画の立て方や山城の歩き方などをレクチャーする「ウモ&ちえぞー!に聞く城旅のコツ」。第12回は、山城歩きの際に必要なアイテムや服装について。スマートフォンの活用方法や熊・虫除けのやり方などをちえぞーさんがレクチャーしてくれます!

山城歩きは様々な危険と隣り合わせのため、それなりの装備をしたいものである。そこで、私自身の体験から何を持ち歩くと良いか、どのような恰好が好ましいかを参考までに紹介したいと思う。

スマートフォンのアプリを使いこなそう

城めぐりに役立つ機能が盛りだくさんのスマートフォンは必需品である。登山に必携なGPSアプリを使用すれば、間違った山に登ったり、迷子になることを防ぐことができる。また、どこから登ってどう歩いたかログを取ることもできるし、後から写真と照合することもできる。方位も分かるし写真も撮れる。

GPSアプリ
ちえぞーさんが使用しているGPSアプリ「ジオグラフィカ」。Android、iOS両方に対応しており各ストアからダウンロードできる。課金すれば機能拡張もできるが、無償版でも現在地の確認や地形図参照など十分な機能が利用できる(公式サイト https://geographica.biz/

更に、事前に縄張図を取り込んでおくこともできるし、その場で検索して見ることもできる。近くにどんなお城があるかや、登り口情報を検索することもできる。音楽を流して人が居ることを知らせることもできる。様々なことに活用しているスマートフォンであるが、山では電波が入らないこともあるし、バッテリー切れとなる可能性もある。そういった場合に備えて、昔ながらのものも必要に応じて持ち歩くようにしたい。

獣害や虫害にあわないための服装と持ち物

荷物は両手が空くように、リュックサックやウェストポーチ等に入れよう。そして、熊ベルを音が鳴りやすく響きやすい場所につけると良い。熊ベルは熊などの動物除けだけでなく、人間が居ることを知らせるのにも役立つ。スマートフォン等で音楽を大音量でかけるのも良いだろう。特に、狩猟シーズンでは誤射されないように存在をアピールしたい。ただし、登山者の中には大きな音を不快に思う人もいるので、付近に人がいる場合は音量を下げるなどの配慮も必要だ。なお、各都道府県のHPでは狩猟禁止区域を示した地図(ハンターマップ)が公開されているので、事前に訪城予定の城が狩猟可能エリアかどうかチェックしておくと良いだろう。

更に、山で獣臭がする時は、人間が居ることをよりアピールするために声を出したり、笛を吹きながら歩くようにしている。また、私は熊が生息する地域では熊除けスプレーも携帯している。しかし、熊除けスプレーは人間にかかっても肌がかぶれたり、目を開けていられなくなるほど刺激が強い。目にまともに入ると失明の恐れもある。そのため、必ず風上から風下に向かって使用するなど、扱いには細心の注意が必要だ。

熊・虫除けスプレー
ヒル除けスプレー(左)と熊けスプレー(右)。使用方法をよく確認し、取り出しやすい場所にしまっておこう

私は熊には何度も遭遇したことがあるが、幸運なことに熊除けスプレーを使用しなくてはならない状況になったことはない。少し距離がある時点で熊に気付き、そのまま後ずさって離れたり、距離がある時点で音を立てることによって熊の方が私に気付き遠ざかってくれ難を逃れている。

近年ではマダニも問題になっている。温暖化の影響で冬でも活動していて危険である。マダニは特に笹薮に多いので、できるだけ笹薮には入らないようにしたい。また、山へ入る前には虫除けスプレーをし、数時間おきにスプレーし直すように心がけよう。そして、万が一刺された場合は、すみやかに病院で治療を受けよう。

山城巡り、藪こぎ
山城巡りでは藪こぎをする機会も多いが、虫に刺される危険性や植物で手足を切ってしまう可能性もある。肌の露出をなくした上で、充分注意して探索しよう

服装はできるだけ肌が露出しないように長袖長ズボンが必須である。そして、くっつきにくいようツルツルした素材で撥水性のあるものを着用している。これはマダニをはじめとした虫だけでなく、草木や種などの植物も付きにくいからだ。その上、多少の雨でも濡れないので万能だ。更に冬は防寒、防風に優れたものが良いだろう。

また、上衣は襟があるもので、できるだけ目立つ色(オレンジやピンク、蛍光色等)が望ましい。黒っぽいと狩猟シーズンでは獣に間違えられて撃たれてしまう可能性もあるし、蜂などは黒っぽい色に集まる習性があるので危険である。遭難した時にも目立つ色の方が発見してもらいやすいだろう。

帽子と手袋も必須である。帽子は上衣と同様に黒っぽい色は避け、できるだけ目立つ色が望ましい。

冬は寒さ対策も兼ねてネックウォーマーを使っている。首には大きな血管が通っているので、暖かくしておくと身体全体が暖かく感じる。更に、首元から虫が進入しやすいのでそれを防ぐ効果もある。ネックウォーマーでは暑い場合はタオルを巻くのもお勧めである。

ズボンは裾にゴムが入っているものを着用している。これは、草木や砂利、虫などが入りにくいためだ。更に、靴下にズボンの裾を入れるようにしている。これも、マダニ等の進入を防ぐためだ。しかし、これだけでは靴とズボンの隙間から小石や枝等が入り込んで不快な思いをするため、私はその上から登山用スパッツを装着している。これを付けるとゴミが入り込まないし、マダニや山ヒルなどが入り込む可能性も更に低くなる。ズボンの下方が汚れたり濡れたりするのも防げるためかなりお勧めである。マダニや山ヒルは僅かな隙間から入り込むし、チャドグガに至っては繊維の隙間からでも入ってくるので、厳重に対策をした方が良いだろう。

登山用スパッツ
足下の隙間対策には、登山用スパッツが有効。長さや素材など多種多様なものが販売されているので、靴や身体にあわせて選ぼう

その他として、雨上がりやジメジメした日は山ヒルが多く出るので、できるだけ山に入らないようにしたい。特にヒルが多い地域では確実に発生すると思った方が良い。どうしても山へ行く際は、ヒル除けスプレーがお勧めである。蛇対策としては、ステッキで地面を叩きながら歩くようにしている。そうすると蛇の方から遠去かってくれる。ちなみに、ステッキ(ストックでも可)は、登下山時の疲労を軽減してくれるだけでなく、蜘蛛の巣を払ったり、不安定な足場でバランスを保つのにも役立つので、私は愛用している。また、匂いに寄ってくる虫も多いため、持ち物や服装などはできるだけ無臭のものを使用しよう。香水をつけて山へ入るのはもってのほかである。

怪我をしないように足元の装備にも気をつけよう

靴はトレッキングシューズを履こう。トレッキングシューズは足首をある程度ホールドできるミドルカットが適当と思われるが、ハイカットが好みの方はそれでも良いと思う。ただし、ローカットはお勧めしない。

また、防水タイプのものが断然良いが、もし防水機能が無い場合は、防水スプレーをしっかりかけておこう。インソールも歩き心地を良くしたり疲労軽減につながるので、使用をお勧めする。それでも、脚が疲れやすい、脚力に自信がない人は、サポーター入りの靴下を履くと良いだろう。私も縦走等で長時間連続して歩く際や傾斜のきつい山へ登る際は愛用している。更に膝や腰への負担を軽減させたいならサポータータイツを履くのも良いだろう。

山城歩きに持って行きたいものリスト

最後に、私が山城歩きで持ち歩いているものを挙げてみよう。かなり多種のものを常時バッグに入れて持ち歩いているが、一つ一つはコンパクトで軽量のため、小物入れ一つに全部入る。お金、身分証明書、健康保険証以外は城歩き専用のバッグに入れっぱなしにしている。

◎バッグに入れず、いつでもすぐに使用できる状態で携行
  • ステッキ…長さが調節できるもの。ストックでも可
  • デジタルカメラ…ストラップを付けて首から掛ける
  • スマートフォン…ストラップを付けて首から掛ける。地形図、縄張図も見られるようにしておく
  • 笛…私はカメラのストラップにつけている。同行者との連絡や遭難時に使用できる
  • 縄張図…スマートフォンで見られるように取り込んでおく(紙で用意するでも可)
  • 方位磁石…私はカメラのストラップにつけている
  • ハンカチ…衣服のポケットに入れている
  • 飲み物…ケースに入れて、たすき掛けにしている

◎バッグに入れて携行
  • ビニールテープ(目立つ色)…下山時に迷いそうな山では、登山時に目印としてつけていく。他にも、チャドクガに刺された際の応急処置(毛を取り除く)や登山靴やカバン他が壊れた際の応急修理、ケガをした際の患部の固定に使用できる。なお、貼ったテープは下山の際に、はがすのを忘れないように
  • 鏡…遭難時に反射するものがあると、発見してもらえる可能性が高くなる
  • デジタルカメラの予備バッテリーと予備記録メディア
  • ティッシュ
  • ウェットティッシュ
  • ビニール袋
  • 絆創膏
  • 筆記具
  • 裁縫セット(小さいハサミも入れる)…針はとげ抜きにも使用できる
  • 安全ピン…ボタンが取れた時の応急処置やとげ抜きにも使用できる
  • ハンドクリーム…マダニに噛まれた際、全体に塗って呼吸できないようにするのにも使用できる
  • リップクリーム
  • お金
  • 身分証明書等、身元が分かるもの…事故等に遭った際に必須
  • 家族等の緊急連絡先が分かるもの…事故等に遭った際に必須
  • 健康保険証

山城歩き、携行バッグ
バッグで携行するアイテムは、用途ごとに小分けにして入れるなどして、いざという時にすぐ取り出せるようにしておこう

◎必要に応じて携行するもの
  • 熊除けスプレー…熊が生息する山へ入る際、すぐに使えるよう腰にケースを下げている
  • ヒルよけスプレー…山ヒルが多い山や、雨上がり・ジメジメした日に携行
  • 虫よけスプレー…数時間おきにスプレーする
  • ゴーグル…枝などが目に入らないように。花粉の時期にも有効
  • タオル
  • モバイルバッテリー
  • 食べ物
  • マスク…花粉や埃除け
  • 日焼け止め
  • 懐中電灯

今回は、実際に私が身に着けたり携行しているものについて具体例を挙げて紹介してみた。「備えあれば憂いなし」という言葉がある通り、城歩きに普段使うものだけでなく、事故や遭難時に必要となるものも用意しておきたい。ただし、必要に迫られることがないよう、無理をせず、安全第一の行動を心掛けることが重要である。

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執筆・写真:ちえぞー
愛知県出身。Webサイト「ちえぞー!城行こまい」管理人。城めぐりを趣味としており、ウモさんと一緒に年間約500城(再訪含む)をめぐり、これまでに約6000城に訪城している。主な執筆協力に『廃城をゆく』シリーズ、『あやしい天守閣』、『“復元”名城 完全ガイド』(いずれもイカロス出版)、『完全詳解 山城ガイド』(学研)など。