城歩きは準備からはじまる!城マニア・いなもと流「家でできる城の楽しみ方」をご紹介

私は、城が好きになって10年目になる城マニアの女性です。城めぐりは現地を歩くことだけではありません。準備をしている時から始まり、家に帰って片付けをするところまでが「城めぐり」です!城探しのキホンや、あると便利な持ち物、城と向き合う記録ノートなど、いなもと流・家でできる城めぐりをご紹介します!


【Before 準備編

まずは自分のレベルにあった城を探す!

名古屋城 
観光地としても有名な名古屋城

行き先選びで大事なのは「自分のレベルにあった城」を探すこと! 現存天守12城や、名古屋城、熊本城、大阪城など、観光地化された城は歩きやすいし親切です。パンフレットが設置され、なかには案内ガイドが常駐している城もあります。

学研プラス、日本100名城公式ガイドブック、日本100名城、続日本100名城公式ガイドブック
学研プラスから発売している『日本100名城公式ガイドブック』『日本100名城に行こう』『続日本100名城公式ガイドブック』には、スタンプラリーの台紙がついている

城歩きの面白さを知った最初の頃は、(公財)日本城郭協会が監修している『日本100名城公式ガイドブック』記載の城を頼りに城選びをしていました。最初は、江戸城や小田原城、松本城、犬山城など、城といわれてイメージする天守や石垣のある城を主軸に巡り、次のステップで佐倉城や鉢形城といった土の城を歩くようになりました。

松尾古城、遠見番所
長野県上田市真田町にある松尾古城と遠見番所の遠景。写真だけも絶望的!

自分のレベルにあった城とはどういうことか? 一つの例をみていきましょう。

城マニアの間でも難易度が高いとウワサされる城があります。松尾古城は山の尾根を登り30分ほどで到着する城ですが、さらに登って行くと遠見番所と呼ばれる石積みの遺構があります。しかし、遠見番所までは登り口から2時間ほど、往復でも4時間近くかかります!

私は、遠見番所の存在を知ってから行く決心がつくまで3年待ちました。山道を登る練習をして、城を見る目を鍛えて、充分経験を積んだと自信がついてから行くことにしたのです。城選びのキホンは「無理はしない」こと。誰かと比較するのではなく、今のレベルや好みで楽しめると思う城をチョイスすることが大事なのだと思います。

また、熊やイノシシがいそうな山城は大勢で行く、女性一人での山城歩きを避けるといった対策も重要です。人気のない所を女性一人で歩くのは危険ですよ! そして、もしも……の時を考えて必ず訪問先の城を家族に伝えて行くことも忘れてはいけません。

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ここ数年で城の情報や、城の歩き方が書かれた本が続々と出版! たくさんの城情報を知ることができ、城との心の距離もぐんと近くなりました。 インターネットは情報が溢れている状態なので、有益な情報かどうか判断しながら閲覧しなければなりません。親切なサイトには、その城の歴史や遺構の状態のみならず、散策難易度や駐車場・トイレ情報についても記載されています。まずは先輩城メグラーの足跡を辿ってみるのも一つの手です!

城の縄張図や案内MAPを持参しよう

縄張図、城の平面図面
縄張図とは、城の平面図面のこと

城の本には研究者や、城歩きのプロが書いた「縄張図」が載っています。遺構の場所が描かれているため、特に山城歩きではあった方が散策しやすいです。もちろん、縄張図はなくても楽しめますが、現地で遺構を見逃した時がとても悔しいんですよね!


ちなみに、縄張図の読み方は城歩きツアーなどに参加して、詳しい方から教えてもらうのが手っ取り早いですよ。印刷したあとは、首から下げる紐をつけたクリアファイルに入れて歩くと楽! 両手もあくし、すぐに縄張図を確認できる状態になります。観光地化された城では、入口に案内MAPが設置されているので、それを見ながら歩きましょう。


持ち物は?入れておくと役立つ荷物

山城歩き、リュック、中身

山城歩きを想定したリュックの中身をご紹介します!
お財布、タオル、ハンカチ、飲み物といった、通常のお出かけ用の荷物に加えて、

・カメラ
・折りたたみクッション
・懐中電灯
・絆創膏
・虫除けスプレー(夏季)
・ガムテープ
・スマートフォンの充電器
・フットカバー
があると役に立ちます。

特に藪漕ぎをした後は、足についた植物を採る時にガムテープがあると便利! 必要な分だけカットして、コンパクトにまとめてカバンにいれておくとgoodです。折りたたみクッションは、ベンチに座る時にひいたり、レジャーシートの代用にもなります。身体を冷やしたくない女性は特にオススメ! とても軽く、100円均一でも販売しています。

【After 城から帰って来たら】

ファイルにまとめてキレイに保存!

資料、ファイル、保存


現地でゲットしたパンフレットや案内マップは、積もり積もって家の中で散らばったり遭難したり……保管に悩むことが多いですよね。

ダンボール箱にまとめて保管でも充分ですが、クリアファイルに都道府県ごとまとめると見やすくなります! 一緒に入場券や、撮影した写真を入れておくと思い出の1冊にもなりますよ。


写真は城名をつけたフォルダーに保存

写真の管理、フォルダー、保存、写真、城名

最も困るのは写真の管理です。とくに土の城に行くことが増えると、フォルダー内はほぼ茶色か緑の写真で埋まります。現地で見たはずの景色が、2次元画面で見るとなんだかちょっと違う…なんてことはよくある話! 城に訪れた数が増えれば増えるほど手遅れになるので、早いうちから城ごとにフォルダ分けして管理しておくとベストです。


スクラップブックでオリジナルノートを作る

スクラップブック


「城巡りをかわいくデコレーションしたい!」

「城の記録を残したい!」


こういったオリジナルノート作成も一つの楽しみ方です。歩いた感想や気づいたことなど、自分向けに好きなことを綴るオリジナルノートは宝物になります。読み返すと、城メグラーとしての自分の成長が見られたり、もう一度その城を訪れてみたくなったり! いわば私日記のような役割をしてくれます。


城の楽しみ方は無限大! ブログやSNSへの投稿もおすすめ!

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城びとの「みんなの投稿」には、ユーザーのお城訪問記録などが日々投稿されています


もちろん外部に発信するためのブログや、SNSも記録を残す素晴らしい手段です。城びとの「みんなの投稿」欄には、会員からお城情報が毎日寄せられています!


城を楽しむことは、訪れるだけでなく、準備の時間や片付けの時間にもあるのだと思います。自分のペースで、自分の好みで、好きな方法を探してみてください。城めぐりをどう楽しむかはあなた次第! 無限大なのです。


いなもとかおり
 執筆/いなもと かおり <お城情報WEBメディア 城びと>
 お城マニア&観光ライター
 年間120城巡る城マニア。國學院大學文学部史学科古代史専攻卒。19歳の時に、会津若松城に一目惚れしてから城の虜となる。訪城数は600ほど。国内旅行業務取扱管理者、日本城郭検定1級、温泉ソムリエ、夜景鑑賞士2級の資格をもつ。城めぐりの楽しみ方を伝えるべく、テレビやラジオにも出演中。
※掲載情報は、記事初出の2018年12月の情報です

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