お城を楽しく研究する「城ラボ by 城びと」 そこらへんみ~んな江戸城!城ラボ by 城びと的江戸の面影さんぽ

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気ままに楽しくお城を研究する城ラボ by 城びと。久保井朝美&いなもとかおり主任研究員ズは今日も今日とてお城に思いを馳せています。あれ、思いだけでなく、実際にお江戸散策に出ちゃってる!?(2023年7月取材)

いなもと主任研究員(以下、いなもと)「私たちのいる東京のお城というとやっぱり江戸城が有名だよね。ぶっちぎりの広さを誇ったから、都心歩いてると実は江戸城に登城してるってこと多い(笑)」

久保井主任研究員(以下、久保井)「そうそう!そこかしこに江戸城の名残がある。都会に見えて江戸の面影、かなりあるよね」

いなもと久保井「「……行っちゃう?江戸の面影さんぽ」」

ということで城ラボ by 城びと、今回は気ままな江戸の面影さんぽに出かけます!

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江戸城の石垣からスタート

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最初の行き先は、やっぱり石垣!
ということで、江戸城の桝形石垣を見られる「常盤橋門跡」に来ました。
東京駅から歩いて7分ほどのところにあります。

常盤橋御門は、寛永6年(1629)に築かれた江戸城枡形門の一つです。江戸城外郭の正門に当たる重要な門で、3万石以上の外様大名が番所で警備に当たっていたそうです。

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徹底して加工した石を隙間なく積んだ美しい切込接ぎ(きりこみはぎ)!
角の算木積み(さんぎづみ)も、六角形の石を積んだ亀甲積もお見事です。

▼石の積み方についてもっと知りたい方はこちらの記事をどうぞ!
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いなもと「わぁーーー!早速発見!」
いなもと主任研究員が夢中になって撮影しているのは、刻印です。

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いなもと「◯に十一…これは確か、加賀藩・前田家が使っていた刻印だっ!」

近くには「常盤橋屋外ミュージアム」があり、常盤橋公園整備工事や、常盤橋の修理工事で出た江戸城の石や遺物が展示されています。 解説プレートがついているので、知識がなくても面白いですよ~。

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久保井 「この矢穴きれいだね」
いなもと「こっちの石もきゅんとする」

展示された石に心躍る主任研究員たち。
名残惜しいけれど、まだまだ序盤、次へ行きます。

江戸時代の迷子探しは人情で

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常盤橋門跡から徒歩3分ほど。
東京駅と日本橋の間にあるのが「一石橋迷子しらせ石標(いっこくばしまいごしらせせきひょう)」。

江戸時代は迷子が多く、一度迷子になると両親と再会するのが難しかったともいわれます。そのため、子どもたちは名前や住所を書いた「迷子札(まいごふだ)」をつけていました。
そんな江戸の迷子対策のために、安政4年(1857)に建てられたのが、この告知石碑です。
左側に迷子の特徴を書いた紙、右側に心当たりの知らせを貼ったそうです。

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「お江戸日本橋七つ立ち~」の日本橋!

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さらに歩くこと10分弱で、日本橋です。
♪お江戸日本橋 七つ立ち~と民謡にもありますから、ここはやっぱり外せない!
慶長8年(1603)、江戸幕府が始まった翌月に完成した初代日本橋。
慶長9年(1604)には五街道(東海道や中山道など、江戸と各地を結ぶ5つの主要な街道)の起点に定められて、人や物の往来が盛んになりました。物流だけでなく、経済や商業、金融、文化の中心地として栄えました。

江戸時代の日本橋は木造で、太鼓橋(アーチ状)というのが特徴。
ちなみに、日本橋は江戸時代の間に17回(16回の説もある)も架け替えられたといわれます。火事による焼失などもあったそうです。

現在の日本橋は、明治44年(1911)に架けられた20代目(19代目の説もある)です。
石造りで、麒麟や獅子の像が印象的。

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久保井 「映画にも登場するお馴染みのスポットだよね」
いなもと「橋のすぐ近くに、江戸の面影があるよ」

日本橋には魚市場も!

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「日本橋魚市場発祥の地」の石碑があるここは、乙姫広場です。像はイメージの乙姫だそう。
江戸時代は、日本橋で漁師たちが魚介類を売っていました。
日本橋魚河岸は約300年続きましたが、関東大震災で市場が消失したため、築地に移転することになったのです。

久保井 「築地にいかない?お腹もすいたし」
いなもと「いいね~! さんぽにグルメは欠かせないよね」

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築地といえば、築地本願寺!

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とても有名ですが、主任研究員の2人とも行ったことがないことが判明。
初めての築地本願寺、行ってみましょう。
築地本願寺は浄土真宗本願寺派のお寺で、オリエンタルな雰囲気の建物がとても珍しい!
敷地内に入ると、涼やかな風鈴の音が。

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音の出どころは、オリジナル朝食でも有名な「築地本願寺カフェTsumugi」です。
入るしかない!
全会一致で、本堂より先にカフェへ。

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「腹ごしらえじゃないの?」というツッコみは華麗に無視っ!
私たちが選んだのは、かき氷~!!

日本のかき氷の歴史は平安時代まで遡り、清少納言の「枕草子」に「削り氷」として出てきます。当時、氷は貴重だったので貴族の食べ物だったそうです。
江戸時代は、加賀藩が氷を江戸まで運び、徳川将軍家に献上していました。現在の金沢から東京までの距離、約480キロ。本来は10日以上かかる道のりですが、なんと加賀飛脚がわずか4日間で駆け抜けたそうです。こんなに苦労して運ばれた氷ですが、土などが混ざっていて食べることはできなかったという話も……。庶民がかき氷を食べられるようになったのは、明治時代以降です。

久保井 「歴史を知ると、ありがたみが増すね。美味しい〜」
いなもと「シャリシャリシャリシャリ…」
久保井 「え?その食べ方は!?」
いなもと「あ、気づいた?」

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いなもと「むっふっふ、薬研掘(やげんぼり)かき氷だよ」

断面がV字になっています!!

久保井 「かき氷の食べ方でもお城愛を発揮するとは、さすが!」

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おいしく氷をいただいた後、ちゃんと参拝しました。親鸞さま、先に食欲に負けた私たちをお許しください。

いよいよ腹ごしらえ!築地場外市場へ

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ご飯ものの前にスイーツを食べてしまった一行、今度こそお食事系を摂取しに築地場外市場へ足を運びました。
と、いなもと研究員が早速、気になるものを発見!

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いなもと「もんじゃコロッケ、美味しそう!」
久保井 「見た目も映えるね」

「築地コロッケ」のコロッケは、普通のコロッケではありません。
外はサクサク、中はトロトロのもんじゃ焼きです。サク×トロ、この食感のコントラストはたまりません。

しかし、半分くらい食べて気づきました。
それは、一般的なコロッケとは比べ物にならない満腹感
炭水化物(=もんじゃ焼き)を揚げているからでしょうか? 手のひらサイズとは思えないほどお腹いっぱいになりました。
何カロリーあるんだろう、背徳のグルメです(笑)

甘いものは別腹!「まぐろ焼き」

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いなもと「あ、何あれ!」
久保井 「まぐろ焼きとは?」
いなもと「たい焼きのまぐろバージョンということかな?」

分からなければ、食べて調査しなくては!

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「築地さのきや」のまぐろやき、一般的なたい焼きよりも厚みがあり、あんこもカスタードクリームもたっぷり入っていて、皮はモチモチです。
あんこは「中トロ」、カスタードクリームは「キハダマグロ」というネーミングにも心惹かれました。

まだまだ食べるよ!洋菓子も外せない

久保井 「気になっているシュークリームがあるの」
いなもと「え!?まだ食べるの?」

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築地場外市場からちょっと離れたところにある「Rockado Factory(ロッカドウ ファクトリー)」。
注文してからシュー生地を温めて、冷たいクリームを詰めてくれました。
あつあつサクサクのシュー生地、中から溢るるひんやりトロトロのクリーム。
至福です。

江戸の面影を感じられる場所を散歩するつもりが、すっかり「食」が目立った結果になってしまいました(苦笑)。
これもまたよし!
また、江戸の面影さんぽに出かけま~す。

執筆/久保井朝美(くぼいあさみ)、写真/城ラボ by 城びと研究員たち
城ラボby城びとキャスター(気象予報士・防災士)。愛知県岡崎市出身。徳川家康が生まれた岡崎城のすぐ近くで育ち、お城に愛着を抱く。長野県の松本城に感動して一層お城への愛が増した。日本100名城スタンプラリーでお城めぐりの楽しさを感じ、日本100名城や続日本100名城ほか、北海道から沖縄まで全国のお城をめぐっている。日本城郭検定2級、気象予報士、防災士、漢字検定1級、チョークアートの資格などをもつ。NHK総合「サタデーウオッチ9」や「ニュースウオッチ9(祝日)」、「午後LIVE ニュースーン」の気象キャスターを務め、全国各地で講演会をおこなっている。NHK総合「日本最強の城スペシャル」にも出演。