日本城郭協会大賞 【インタビュー】日本城郭協会大賞:増山城跡解説ボランティア曲輪の会

日本城郭協会大賞
城郭文化の振興に貢献した団体及び個人を顕彰する「日本城郭協会大賞」。第3回日本城郭協会大賞に選定された増山城跡解説ボランティア曲輪の会(富山県砺波市)にお話を伺いました。

<増山城跡解説ボランティア曲輪の会>

今年で結成14年目を迎える増山城跡解説ボランティア養成講座の修了生を中心としたグループ。次世代への継承を目的に、子・親・祖父母の三世代で行う「三世代草刈り&バーベキュー」や、小学生向けガイドを実施など、城跡をきっかけにした郷土愛の醸成につながる活動を行っています。学芸員から城や歴史の知識をしっかりと伝授されたボランティアガイドは、他の城郭で行われている城郭ガイドボランティアの取り組みの先駆けであり成功している実例として、日本城郭協会大賞に選ばれました。
日本城郭協会大賞
三世代草刈りボランティアの様子

―増山城跡解説ボランティア養成講座を修了された方が中心となったグループと伺いました。どのような経緯で曲輪の会を結成なさったのでしょうか?
 増山城の国指定史跡がきっかけです。砺波市教育委員会によるボランティア養成講座の修了者で、増山城跡の解説ボランティアや、関係事業への協力と自己研鑽を目的とする会を設立することとなりました。これが曲輪の会です。その後も養成講座が2回開催されており、会員も増えております。曲輪の会は、砺波市教育委員会の指導で生まれて、育てていただいたと考えております。

―所属されているのは地元の方が多いのでしょうか?
 現在、所属人数は46名であり年齢層は20代から80代まで幅広く、砺波市内に留まらず広く富山県内、さらには石川県の会員もおり、積極的にガイドに協力いただいています。これは増山城に魅力がある証拠で、増山城は地域を問わず人を惹きつけるのだと思います。

日本城郭協会大賞
増山城の冠木門と桜

―その通りですね。思いがなければ活動は続かないと思うのですが、何か会員同士の結束を強めるような仕掛けはなさっているのでしょうか?
 解説ボランティアや関係事業の協力のほか、「城攻め」と称して希望者を募って県内外の城跡を訪問、研修をしています。城好きのメンバーの行きたい場所を相談しながら会員のモチベーションが下がらないようにしています。

日本城郭協会大賞
登城認定証(左)や御城印(右)の発行もおこなっています
 
―ボランティア活動にモチベーション維持は絶対必要ですね。これまでの活動の中で印象深いエピソードを1つ教えてください。
 「城主になりたいナンバーワンの城」とのお言葉を裏付けるように、落語家の春風亭昇太師匠が何度も増山城を訪れてくださったことや、夏野修砺波市長が昇太師匠を名誉城主に任命してくさったことなど、本当にありがたいと深い感謝とともに思い出されます。
日本城郭協会大賞
春風亭昇太師匠による音声ガイド「ますナビ」
 
―今後の目標をお聞かせいただけますか?
 三世代交流草刈り&バーベキューなどの保全活動は、地域の自治振興会等のみなさまが中心となってくださっています。砺波市内の小学生全員が必ず1回は増山城に登るというふるさと探訪事業は砺波市教育委員会の主催事業であります。さらには、増山城戦国祭りも地元自治会が中心です。
 この度の受賞も、砺波市によって育てていただき、地域の皆さんの郷土愛溢れる活動を共にさせていただいたことによるものであります。このように今後も、砺波市、栴檀野地域の皆さんと共に、増山城を訪れる方々に喜んでいただけるよう研鑽に努めたいと思います。
日本城郭協会大賞
(左)ふるさと探訪事業の様子、(右)増山城戦国祭りのウォークラリー運営テントの様子

―今まで同様、官民問わず地元みんなで取り組まれていくということですね。最後にお城ファン・城びと読者へのメッセージをお願いします。
 曲輪の会は、解説を通じて訪れる方々との交流を大切にしたいと考えています。ご来城をお待ちしております。
 
―ありがとうございました。

【日本城郭協会大賞とは】

公益財団法人移行10周年を記念し、日本城郭協会が2022年に開始した城郭文化の振興に貢献した団体及び個人を顕彰する事業です。小和田哲男理事長を審査員長とする審査会にて「日本城郭協会大賞」を選定します。ほかにも、城郭城址の維持・整備を自主的に行うボランティア団体等を賞する「日本城郭文化振興賞」、城郭文化の普及に寄与した個人・団体を賞する「日本城郭文化特別賞」、2023年から城郭管理者として特筆すべき成果を挙げた自治体等を「調査・整備・活用賞」として顕彰しています。

これまでの受賞者インタビュー等の記事はこちらをご覧ください。

執筆/城びと 取材協力・画像提供/増山城跡解説ボランティア曲輪の会