日本城郭協会大賞 【お城TOPICS】第3回日本城郭協会大賞は「増山城跡解説ボランティア曲輪の会」!

日本城郭協会大賞
2024年4月6日の「城(46)の日」にちなみ、公益財団法人日本城郭協会が第3回日本城郭協会大賞等の受賞者を発表! 受賞内容と併せてご紹介します。

日本城郭協会大賞とは

公益財団法人移行10周年を記念し、日本城郭協会が2022年に開始した城郭文化の振興に貢献した団体及び個人を顕彰する事業。小和田哲男理事長を審査員長とする審査会にて「日本城郭協会大賞」を選定します。ほかにも、城郭城址の維持・整備を自主的に行うボランティア団体等を「日本城郭文化振興賞」、城郭文化の普及に寄与した個人・団体を「日本城郭文化特別賞」、城郭管理者として特筆すべき成果を挙げた自治体等を「調査・整備・活用賞」として顕彰。

第3回「日本城郭協会大賞」は「増山城跡解説ボランティア曲輪の会」が受賞

日本城郭協会大賞

第3回日本城郭協会大賞に選ばれたのは「増山城跡解説ボランティア曲輪の会」(富山県砺波市)です。「増山城跡解説ボランティア曲輪の会」は、今年で結成14年目を迎える増山城跡解説ボランティア養成講座の修了生を中心としたグループです。

<日本城郭協会大賞の受賞理由>


「増山城跡解説ボランティア曲輪の会」は、平成22年(2010)に設立。砺波市民に加えて、富山県内や石川県在住の会員も活躍している。次世代に活動を継承する目的で、地元小学生向けのガイドや子・親・祖父母の三世代で行う「三世代草刈り&バーベキュー」を開催するなど、城跡を地域振興の拠点として位置づけ、郷土愛の醸成につながる活動をしている。毎年秋に開催される「増山城戦国祭り」と合わせ、地元を巻き込みながら会員も楽しんで参画する保全活動の一つの形を提示している。
優秀な学芸員のもと、研鑽を積んだボランティアメンバーによる多彩なガイドは来訪者に増山城に関する知識だけでなく感動も与えており、各地で取り組まれている城郭ガイドボランティアの取り組みの嚆矢、好実践例として顕彰することとした。(日本城郭協会)

第3回「日本城郭文化振興賞」は「山名氏城跡保存会」

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第3回日本城郭文化振興賞に選ばれたのは「山名氏城跡保存会」(兵庫県豊岡市)です。1985年の「但馬出石此隅山城の保存を進める会」から始まり何回か名称を変更しつつ、現在に至るまで但馬地方の城下町や周辺の史跡破壊防止に尽力、保存や調査・研究に取り組んでいます。

<日本城郭文化振興賞の受賞理由>


「山名氏城跡保存会」は、山名氏関連の城郭、特に有子山城の定期的な草刈り、山道の維持に努めるほか、広く啓発活動を継続して実施している。
有子山城は急峻な山上にあるが、「山名氏城跡保存会」が定期的に登山道の整備、安全配慮に努め、山上部の草刈りを会員総出で定期的に実施しているため、山上の石垣遺構も見学しやすく、また山麓の旧出石城下町から山上部の石垣をはっきりと視認できるなど、遺跡の維持のみならず景観整備にも大きく貢献していることを評価する。(日本城郭協会)

第3回「日本城郭文化特別賞」受賞者は余湖浩一さん (城郭研究家)

余湖くんのホームページ(http://yogokun.my.coocan.jp/)

城郭文化の普及に寄与したとして顕彰されたのは、「余湖くんのホームページ」を22年間も無償で運営されている城郭研究家の余湖浩一(よごこういち)さんです。

<日本城郭文化特別賞の受賞理由>


余湖氏は教職のかたわら、27年間に渡って全国の城郭・城址に足を運び得た情報を、自ら描いた城の鳥観図(余湖図)と写真・文章で構成されたブログ「余湖くんのホームページ」を運営し、無償で城郭愛好家に向けて公開を続けている。
城の情報が少ない時代から、1万余の城の情報が掲載される「余湖くんのホームページ」の見どころ、アクセス等の情報を参考にして城巡りをする愛好家は多く、同氏の仕事が現在の城ブームの礎になっていると言っても過言ではない。その仕事量と情熱は想像を絶するものであり、特別賞に値するものと評価する。(日本城郭協会)

「調査・整備・活用賞」に輝いたのは「飛騨市教育委員会」

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昨年新設された「調査・整備・活用賞」に輝いたのは、飛騨市教育委員会(岐阜県)です。同委員会は飛騨市古川町にある山城群を「中世の飛騨の歴史を物語る城跡」として国指定史跡にするべく平成29年(2017)から調査を続けており、2023年10月20日、ついに姉小路氏城跡が史跡指定されました。

<調査・整備・活用賞の受賞理由>


姉小路氏城館の緻密な調査により山上居館、畝状空堀群の構築過程、織豊系城郭への改修過程等を解明し、遺跡としての価値を明瞭にした結果、国指定史跡として認定されたことを評価する。(日本城郭協会)

大津市および株式会社三王不動産流通が「審査員特別表彰」受賞!

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2024年2月、宅地造成のための発掘中に坂本城の石垣が発見されたというニュースが全国のお城ファンの胸を躍らせました。ビッグニュースが流れたわずか数日後、工事を中止し、石垣保存決定の知らせに、全国のお城ファン歴史ファンが歓声を上げたことは記憶に新しいですね。その英断を称えて、感謝を込めて大津市および株式会社三王不動産流通に「審査員特別表彰」が贈られました。

<審査員特別表彰の受賞理由>

株式会社社三王不動産流通が、開発のために取得した土地から出土した坂本城の遺構保存のために尽力された大津市と、遺構保存に理解を示し工事計画を中止して将来の国史跡認定取得のために大津市に協力する決断をした株式会社社三王不動産流通の行動に感謝して、審査員特別表彰を行うこととした。(日本城郭協会)


今後、表彰式や受賞者による記念講演等を予定されているとのこと。受賞されたみなさま、おめでとうございます。そして、ありがとうございます。

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執筆/城びと編集部、画像/公益財団法人 日本城郭協会