超入門! お城セミナー 超入門! お城セミナー 第7回 | 【鑑賞】:お城めぐりのベストシーズンっていつ?

初心者向けにお城の歴史・構造・鑑賞方法から、お城の用語、訪れる時の服装や注意点まで、ゼロからわかりやすく解説する「超入門!お城セミナー」。今回はお城歩きに適した季節を紹介。城というと「夏」というイメージもありますが、本当に適した季節とは?

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山城鑑賞は冬がおすすめ。夏場は堀や曲輪全体が藪に覆われていることが多い。写真は屋代城(長野県)

ベストシーズンは晩秋から春


「城に行くにはいつの季節がよいですか?」と質問されることが多い。これが、「車を買うのはいつがよいですか(購入するものは家電でも高級時計でも何でもいいのだが)」という質問なら、「買いたいときが買い時です」と堂々と答えるのですが、城の場合は「行きたいときが行き時です!」とはなりません。

「えっ!? お城なんて季節感ないじゃん」って思った読者もいるかもしれませんが、おそらくそう思った方が思い浮かべている城は、大阪城(大阪府)や名古屋城(愛知県)・姫路城(兵庫県)など、観光地として名高い城ではないでしょうか。そうした観光客が大勢押し寄せる城は、城内の大半が歩きやすく整備されており、365日手入れが行き届いている城です。でも、そうした季節に関係なく受け入れ体勢バッチリな城は、全国でもごくわずか。城が屋外の遺構である以上、そして日本が四季の豊かな列島である以上、自然の影響は少なからずあります。

特に注意しなければいけないのは、自然の中にたたずむ山城や土の城。登山道に生えた下草や曲輪を覆うヤブ、そしてハチやヤブ蚊、ヘビといった動植物が訪城者を阻むからです。そう考えると、山城歩きにおすすめのシーズンは、およそ晩秋から春(11月〜4月)ぐらい。冬は草が枯れているので歩きやすく、木々は枯れ木になっていることが多いので、葉っぱに視界を遮られるというストレスも減ります。また、獣や虫たちの活動も停止気味です。

逆にNGなのは夏。草木が茂っているので遺構が見えにくいということもありますし、とにかく暑くて疲れます。熱中症の危険もありますし、汗をかくので帰り道が不快になる上に、帰りの電車や車中で逆に冷やされて風邪の心配も。

さらに、獣や虫たちが活動的なのも夏です。著者は晩夏に取材で鹿背山城(京都府)へ行ったとき、久しぶりの獲物にヤブ蚊が乱舞したのか、数十箇所刺されてちょっとした発熱状態になり、駅で2時間ほど動けなくなった経験があります(こういう場合は必ず病院に行きましょう)。いけないとは知っていながら、半袖で城歩きをしていたのも原因でした。このように、夏はさまざまな危険がありますし、対策として多めの飲み物に防虫剤、替えの下着などを持って行くとなると、荷物もかさみます。山城・土の城に行くには、夏場はNGと考えましょう。

桜はお城鑑賞の大敵!?

実は整備されている平地の城や近世城郭であっても、夏場はあまりオススメではありません。1番の理由は、城鑑賞に草木(特に葉っぱ)がジャマになるから。観光地となる城はたくさんの木々が植生されていることが多いですが、そうすると夏場は木の葉によって建物や遺構が隠れてしまいます。

特に厄介なのが桜です。桜の葉っぱは高い密度で生い茂るので、桜を売りにしている城だと、夏場は桜の葉に覆い隠されてしまうということも少なくありません。もちろん、桜や紅葉の季節はある意味お城観光のベストシーズンですので、それを目当てにするなら問題ありませんが、城そのものを鑑賞するのであれば、葉っぱが枯れ始める晩秋から、桜が咲く直前の季節がよいでしょう。

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桜で有名な津山城(岡山県)。春以降は花や葉っぱに覆われてしまうが、冬は枯れ木の隙間から建物や遺構を確認することができる(撮影は2月)

さて、城歩きは晩秋以降がよいと紹介してきましたが、寒冷地にある城は、冬には雪の心配があります。積雪のある山城は遺構が見えない上に登山自体が困難ですし、車で行った場合、スタッドレスタイヤやチェーンをはいていないと事故の危険があります。山麓はまったく雪が積もっていなくて平気だったのに、ちょっと登ったら道に積雪があってそれ以上進めないということは頻繁にあります。

これも筆者の体験談ですが、玄蕃尾城(滋賀県・福井県)に12月に訪れた際、下の道はまったく平気だったのに、駐車場まで登る山道が積雪のため車で進むことはできませんでした。そのときはあきらめて2月後半に再訪したのですが、同じように登山道には積雪が残っており、2回とも引き返したという苦い経験があります。冬に雪が降る地方の城に行く場合は、しっかり天気予報を確認するとともに、自治体や地元のくわしい方に状況を聞いてから訪城するようにしましょう。

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玄蕃尾城へ向かう道路は普通タイヤでまったく問題なかったが(写真左)、登山道は山の陰になるため雪に覆われ、これ以上進めなかった(写真右/撮影は2月)


執筆・写真/かみゆ歴史編集部
「歴史はエンタテインメント!」をモットーに、ポップな媒体から専門書まで編集制作を手がける歴史コンテンツメーカー。手がける主なジャンルは日本史、世界史、美術史、宗教・神話、観光ガイドなど歴史全般。最近の編集制作物に『完全詳解 山城ガイド』(学研プラス)、『エリア別だから流れがつながる世界史』(朝日新聞出版)、『教養として知っておきたい地政学』(ナツメ社)、『ゼロからわかるインド神話』(イースト・プレス)などがある。

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