熊本城の「いま」 熊本城の「いま」第2回 | 名物ガイドとめぐる 最新の熊本城2時間コース ~後編~

地震があったからこそ語られる熊本城の秘密

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震災を機にガイドコースに加わった未申櫓

「くまもとよかとこ案内人の会」のガイドさんとめぐる熊本城コース。120分コースは、前編の最後に訪れた加藤神社からさらにぐるりと熊本城をまわります。ちなみに、60分コースは加藤神社で折り返し二の丸公園に戻ったところで解散。90分コースは、二の丸公園からさらに「桜の馬場 城彩苑」を目指します。

次に向かった桜の馬場 城彩苑付近の未申(ひつじさる)櫓。今回ガイドをしていただいている「くまもとよかとこ案内人の会」会長の吉村さんが、「火縄銃の射程距離をご存知ですか?」と、櫓の前で立ち止まりました。「火縄銃の射程距離は50mです。今立っている辺りは、未申櫓の鉄砲狭間(銃を撃つ場所)から50m未満の距離。つまり櫓から狙い撃ちしやすいようになっています」。元々は観光コースではなかった場所ですが、震災を機に新しいコースとなったそう。そのため、これまであまり知られていなかった、熊本城の機能を知ることができるようになりました。

熊本城の“いま”を伝えるミュージアムへ

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2018年3月にリニューアルした熊本城ミュージアムわくわく座

さて桜の馬場 城彩苑に到着したところで、吉村さんとはお別れ。桜の馬場 城彩苑にある「熊本城ミュージアムわくわく座」へ向かいます。熊本城を深く知るためには、ぜひ足を運びたいスポットです。

1階には、熊本城の歴史にまつわる展示のほか、熊本城定点ライブカメラや、西南戦争にちなんだクイズや熊本城の火消しゲームが体験できる「西南戦争ゾーン」など、多彩な展示・体験コーナーが並びます。「熊本城の最新の情報を伝えようと工夫しています」と運営担当の黒田清恵さんが力を込めて話します。

注目は、フロア中央で見学できる、2018年3月28日に始まった熊本城被災・復旧プロジェクションマッピング。100分の1スケールの熊本城に、地震の影響を映し出し、石垣や櫓の崩れ方を生々しく伝えます。大小天守閣、宇土櫓、飯田丸五階櫓、北十八間櫓、東十八間櫓の被災状況が、一カ所ずつ再現。ナレーション付きで、スローモーションもあります。落ちた石垣の様子から、落下する石垣の様子を綿密に計算しているとのこと。4月16日からは、復興の様子も投影開始。「始まって間もないですが、プロジェクションマッピングに見入る方の姿が目立ちます」(黒田さん)。

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2018年3月28日から始まったプロジェクションマッピングでは震災の被害が一目瞭然

時代衣装を着て記念撮影を撮ることができる「なりきり体験」コーナーも人気です。4月1日から衣装が新しくなり、陣羽織と打掛衣装がよりきらびやかになりました。

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乙女ゴコロくすぐる打掛衣装

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次々に観光客が時代衣装を着ての撮影を楽しむ

2階には大きなスクリーンが設置され、江戸時代と被災前の熊本城がVR映像で楽しめます。館内スタッフの解説付きで大迫力の映像に引き込まれますよ。

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熊本の歴史や文化を楽しく紹介する寸劇も実演される

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館内スタッフによる解説中

そして忘れてはならないのが1階入口前に設置されている1対の鯱。小天守に載る予定の鯱で、2019年8月31日まで期間限定で展示されています。

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小天守鯱は高さ86cm、幅38cm、奥行き60cm、重さ70kg

<基本情報>
熊本城ミュージアムわくわく座
住所:熊本県熊本市中央区二の丸1-1-1
電話番号:.096-288-5600
開園時間:9時~17時30分(入館は~17時)
入館料:300円
定休日:12月29〜31日


名前とのギャップが大きい熊本城のオアシス

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銃眼(銃を撃つために備えられた小さな窓)をもち、砦の役割を果たしていた監物櫓

余力があれば立ち寄りたいのが監物(けんもつ)台植物園。加藤家の後、熊本城主となった細川家家老、長岡監物が守っていたことに由来します。国の重要文化財にも指定されている監物櫓を目近で見学できます。ちなみにこの監物櫓は熊本地震で被災し、今後解体し、復旧を目指すことになっています。

また、監物櫓だけでなく、約2000本の樹木、草花が四季折々の姿でお出迎え。特にこれからの季節は花々が美しくなります。取材時(2018年4月4日)にはチューリップやシバザクラが見頃を迎えており、女性や外国人観光客を中心に賑わっていました。

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熊本城の憩いの森林として親しまれている

<基本情報>
監物台植物園
住所:熊本県熊本市中央区二の丸4-1
電話番号:096-352-5781
開園時間:9〜18時(10~3月は~17時) 
入園料:200円
休園日:月曜(月曜が祝日の場合は火曜)


いかがでしたでしょうか?熊本城を約2時間で満喫するコースをご紹介しました。さらに熊本市役所14階にある展望台を利用すれば、熊本城を一望できますので、最後に登ってみるのもおすすめです。

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熊本市役所14階展望台からの眺望

次回は熊本地震の影響と復興状況について、ご紹介予定です。天守閣の復興スケジュールを詳しく紹介するほか、今回のモデルコースでは紹介できなかったところも登場しますよ。

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散策コースの位置関係をおさらいしよう


※記事中のデータはすべて取材時(2018年4月4日)の情報となります。

執筆・写真/藪内成基(やぶうちしげき)
奈良県出身。30代の城愛好家。国内旅行業務取扱管理者。出版社にて旅行雑誌『ノジュール』などを編集。退職し九州の城下町に移住。観光PRやガイドの傍ら、「城と暮らし」をテーマに執筆・撮影。『地域人』(大正大学出版会)など。海外含め訪問城は500以上。知識ゼロで楽しめる城の情報発信を目指す。

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